山陽5000系電車

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山陽5000系電車(さんよう5000けいでんしゃ)は、1986年に登場した山陽電気鉄道の鉄道車両のこと。本項では山陽5030系電車についても記述する。

概要[編集]

山陽電気鉄道では老朽化の進んだ250形等の置き換えのために3000系列の導入を進めていたが、22年ぶりのフルモデルチェンジ車として270形2700系等の残党成敗を目論み3連7本がまず製造された。その後、2000系の置き換えも兼ねて合計で60両体制となり、1997年からは5030系20両が追加増備され2系列で80両体制となった。

構造[編集]

3050系の19m級のアルミ車体・両開きドア片側3箇所を引き継いだが、前面デザインは大幅に変更され、角形シールドビームや窓下尾灯配置が採用された。断面は3000系列と比較して丸みが省かれている。

内装は固定クロスシートベースのセミクロスシートが採用され、クロスシートの構造は名鉄6000系をベースとした集団離反式とされた。後に転換クロスシート車や転換クロスシートに改造された車両も存在した。

制御装置は富士電機製の界磁添加励磁制御を採用。界磁チョッパ制御VVVFインバータ制御も当初は選択肢にあったが、それぞれ複巻電動機と採用例の少なさが仇となり界磁添加励磁制御になった経緯がある。

主電動機はMB-3020S系で3000系と共通だが、一部は2300系や3000系からの流用品であり、主電動機を失った3000系は2000系の発生品で3200系に改造されている。

台車はいずれもダイレクトマウント型で、前期車が円筒案内式のKW-35・36系、後期車がKW-93・94系とされた。一度だけボルスタレス台車が試用されたことがあるが、山陽塩屋駅の曲線が仇となりボルスタレス台車採用は見送られた。

補助電源装置は5000形、5200形偶数車にGTO素子の静止型インバータを搭載し、予備としてクハ5600形に電動発電機を搭載するが、6連化でMGを撤去された5600形も存在する。5030系組み込み6連は5600形のMGをIGBT素子のSIVに交換して対応した。空気圧縮機は5000形と5600形に1基ずつ搭載する。

ブレーキ方式はHRDA-1が採用された。

5030系での変更点[編集]

制御方式が富士電機製のIGBT素子を採用したVVVFインバータ制御・1C1M×4に変更されたが、これに伴い主電動機まで富士電機製とされた。座席は転換クロスシートだが、2+1配列が採用されている。

形式別概説[編集]

当初は以下の形式で構成された。

クモハ5000形・モハ5000形
偶数車がMc車で、奇数車がM車で、M車に制御装置を搭載。この2両でユニットを組む。
モハ5200形
2両ともM車だが、奇数車に制御装置を搭載。この2両でユニットを組む。偶数車はCPを持たない。
サハ5500形
補機類を一切持たないT車。
クハ5600形
Tc車。

5030系は以下の形式で構成される。

モハ5230形・モハ5250形
M車だが、5230形奇数車はパンタグラフを持たず、パンタグラフのついた5230形偶数車または5250形とユニットを組む。
サハ5530形
補機類を一切持たないT車。
クハ5630形
Tc車。偶数車は高速神戸・大阪梅田方で、奇数車は姫路方を向く。

リニューアル後は以下の形式が追加された。

クハ5700形
クモハ5000形からの改造で、主電動機を撤去、SIVを交換した以外に変化はない。
モハ5800形
モハ5000形からの改造で、制御装置がVVVF化された。

増備[編集]

1986年にまず3連7本が製造され、その次にサハ5500形4両、3連3本が増備された。そして座席を転換クロスシートに変更された4連2本が製造されたところで編成単位での増備は完了。その後は6両化のための中間車3両ペアが3編成分、サハ5500形単体が3編成分増備され、最後に6両化のためにモハ5200形ユニットが6両分増備されたところで以降の増備は5030系に移行。

5030系では6連2本と6連化用の中間車4編成分が増備された。

改造[編集]

座席変更改造[編集]

5014 - 18Fの3編成は固定クロスシートから6両化に備え転換クロスシートに改造された。また、5004以降のクモハ5000形は後にロングシート化されている。

直通特急対応化・5030系組み込み対応化[編集]

中間連結器の設置等により阪神乗り入れへの対応工事がなされ、全編成に対して完了している。また、4連で残った6編成はほとんどがMGのSIV交換等5030系への組み込みに対応した改造がなされたが、5002Fのみについては5030系組み込み対応改造の対象外となった。

リニューアル[編集]

2018年より改造が開始され、5004Fがまず対象になった。制御装置のVVVF化等がなされ、座席も中間の2両を除きロングシートに改造された。リニューアル車の主電動機はMB-5158Aで6000系に準じ、主制御器は富士電機製のHB-SiCタイプが採用されている。

2019年からは5006Fが改造を受け、2020年にリニューアル後5703Fとして復帰予定だったが、阪神尼崎工場構内で脱線事故を起こしうち5703-5803(書類上は5006-5007)-5503-5237が復旧を見送られ廃車された。その後しばらくリニューアルが途絶えていたが2024年の5008Fより再開され、こちらが5703Fを名乗った。2025年からは5501-5254-5604がリニューアルされることになっており、この関係で5002Fは再度3連化された。

5030系へのLCD設置・方向幕のLED化[編集]

2022年から2025年にかけて5030系の6連2本に車内案内表示装置のLCD化と行き先表示器のフルカラーLED化改造がなされた。こちらはリニューアル未施工であり、前照灯もシールドビームを維持している。

運用[編集]

2025年現在、3連・4連は阪急神戸三宮 - 山陽姫路の普通・S特急にて、6連は阪神大阪梅田 - 山陽姫路の特急以上にて使用される。5002Fの3連が網干線で使用されることはない。

事故と事故廃車[編集]

5630Fは2013年にキャリアカーとの衝突事故を起こしたが、2014年までに全車が復帰した。

また、上記尼崎工場構内で脱線事故を起こした5006-5007-5503-5237は2022年に除籍廃車となり、5237に至っては車齢わずか22年で消されたことになる。廃車後、5237はリニューアルされる5501に台車・走行機器を供出し、2025年の5503と5237を皮切りに解体搬出が始まっている。

今後[編集]

Achtung.png以下の内容は投稿者の予想や憶測を含みます。
確定事項ではありません。参考程度にご覧下さい。

2024年にリニューアルが再開されたこともあり今後も原則的にリニューアルが続くものと思われるが、問題なのは5000Fと5002Fの扱いである。この2編成についてはそれぞれ系列内唯一の4連と3連であり、他編成と同様のリニューアル方式を適用するわけにはいかない他、事故廃車の影響で余剰となりながらまとめてリニューアルの餌食となった5501-5254-5604の存在を踏まえると以下のいずれかが考えられる。

  • 5002Fの5601を、編成単位でのリニューアルとともに中間車に改造。
  • 5000Fの5000-5001-5500がまとめてリニューアルされ、5002Fの5601を5600に差し替えたうえで、5601は廃車か5002Fへの増結用とする[注 1]

なお、山陽電気鉄道でアルミ車に対してや、形式変更を伴わず中間車化改造された事例は存在しないため、後者に軍配が上がるものと言えよう。

憶測はここまで


編成一覧[編集]

4両編成
  • 5000F
3両編成
  • 5002F - 元・4両編成。
6両編成 (5000系・5030系混結)
  • 5702F
  • 5703F
  • 5010F
6両編成 (全5000系)
  • 5012F
  • 5014F
  • 5016F
  • 5018F
  • 5020F
  • 5022F
6両編成 (全5030系)
  • 5630F
  • 5632F
保留車
  • 5501-5254-5604 (5501は旧5002F・それ以外は旧5008F)
廃車
  • 5006-5007-5503-5237 (旧5006F)

消滅編成[編集]

  • 5004F - 5702Fにリニューアル。
  • 5006F - 5006-5007-5503-5237が事故廃車。
  • 5008F - 5703Fにリニューアル。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. 5600は補助電源装置をSIVに交換されているため、5601と比較すると大掛かりな改造は不要である。

出典[編集]