宗教批判

各種の宗教には、現代には通用しにくいような時代遅れの教えやコミュニティに適さない教えも多くあり、それらに対しては次のような宗教批判がある。

倫理的・人権的批判

古代的な価値観が、現代の人権・平等思想に反する。例えば、

• 女性の地位に関する規定（例：女性の服装義務、指導者になれないなど）
• 同性愛の禁止や罪悪視（多くの宗教で今も継続）
• 異教徒・不信者に対する排除的な教え

科学的・合理的批判

自然現象や宇宙観に関する教義が、科学と矛盾している・

• 創造論（天地創造を6日間で行ったなど） vs. 進化論・宇宙物理学
• 奇跡や天啓を文字通りに解釈する非合理性
• 天動説的宇宙観の名残り

時代適合性の欠如（制度の時代遅れ）

宗教的規則・儀式が現代の生活にそぐわない、非実用的。

• 安息日や断食など、厳密な生活ルールが現代社会と相容れない
• 離婚や再婚に対する厳格な制限
• 遺産分配や婚姻に関する規定が男女不平等

権力・政治との癒着への批判

宗教が国家・政治と結びつくことで、不平等や支配構造を強化する。

• 宗教指導者による世俗政治介入（例：イランの神権政治）
• 宗教が正統性を主張して反体制派やマイノリティを弾圧
• 宗教による教育の支配（例：創造論の教育義務）

排他性・独善性への批判

自宗教のみが「真理」とする態度が対話や共存を妨げる

• 異教徒の「救済なき存在」との断定
• 改宗の強制または優越感
• 宗教戦争や原理主義の温床

歴史的な宗教批判の例

思想家・運動	批判の対象
カール・マルクス	宗教は「民衆のアヘン」：抑圧の手段
フリードリヒ・ニーチェ	「神は死んだ」：宗教の道徳的退廃批判
ボルテール	宗教的迷信と教会権力の暴力性への批判
現代の新無神論者	サム・ハリス、クリストファー・ヒッチェンズなどの科学的・倫理的批判

宗教擁護側の反論

• 「教義は象徴的・解釈的に読むべき」
• 「宗教は文化・共同体の土台として重要」
• 「批判されているのは宗教そのものではなく、誤った解釈や運用」

宗教批判は、宗教を否定するだけでなく、宗教が現代に適応するためにどのように進化すべきかという問いでもある。