壺屋焼

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壺屋焼は、沖縄県那覇市壺屋地区および読谷村などで生産される、沖縄を代表する伝統的な陶器。地元では「やちむん」とも呼ばれ、庶民の日用品から芸術的な工芸品まで幅広く展開されている。

歴史[編集]

14〜16世紀に中国朝鮮から陶磁器技術が伝来。琉球王国時代に独自の焼き物文化が形成された。1682年、尚貞王の命により、首里・知花・湧田の窯が壺屋地区に統合され、壺屋焼が誕生。大正時代には民藝運動の柳宗悦、浜田庄司らが壺屋焼を本土に紹介し、全国的に評価されるようになる。戦後は薪窯の煙害対策により、読谷村へ窯を移す陶工が増え、「やちむんの里」が形成された。

技法と種類[編集]

  • 上焼 釉薬をかけて約1200℃で焼成。碗・皿・鉢など日用品が中心。
  • 荒焼(南蛮焼) 釉薬なしで約1120℃で焼成。酒甕・水甕などが中心。

釉薬と装飾技法[編集]

  • 釉薬の種類:白釉、黒釉、緑釉、飴釉、呉須、乳濁釉など。特に白釉は沖縄特有のモミ灰と具志頭白土を使用。
  • 装飾技法:刷毛目、象嵌、線彫、飛ばしカンナ、赤絵、盛り付け、貼り付けなど多彩。

代表的な作品と用途[編集]

  • シーサー:魔除けの獅子像。屋根や門柱に設置される。
  • 抱瓶:携帯用酒器。肩から吊るして持ち歩く形状。
  • カラカラ:倒れにくい徳利。居酒屋などで現在も使用される。
  • 厨子甕:遺骨を納める容器。装飾性が高く、現在は一輪挿しなどにも使われる。

主な産地と施設[編集]

  • 壺屋やちむん通り(那覇市):多くの窯元やギャラリーが並ぶ観光名所。
  • やちむんの里(読谷村):薪窯を使う陶工が集まる工芸村。
  • 那覇市伝統工芸館:壺屋焼の展示・体験ができる施設。
  • 那覇市立壺屋焼物博物館:壺屋焼の博物館。