四元数

四元数とは、複素数を拡張した数体系の一つである。複素数にケーリー＝ディクソン構成を適用して得られたものである。四元数全体の集合は、アイルランドの数学者ウィリアム・ローワン・ハミルトンにちなんで、黒板太文字のHで表現される。

概要[編集]

四元数は、実数a,b,c,dと虚数単位i,j,kに対して

a+bi+cj+dk

と表せる数である。
虚数単位は

i^{2}=j^{2}=k^{2}=ijk=-1

を満たす。
また、積は非可換で

ij=-ji=k

jk=-kj=i

ki=-ik=j

である。
和や差は複素数と同様に計算できる。また、実部や虚部、純虚のような概念も複素数に似ている。
具体的には、 $a$ を実部、 $bi+cj+dk$ を虚部あるいはベクトル部という。 a=0かつbcd≠0ならば純虚である。

3次元での回転の計算に有用である。物理学の分野でも使われていたが、ベクトル解析の方が都合がよかったのであまり見られなくなった。しかし20世紀に入ってからはスピン角運動量などの概念も四元数に類似しており、ハミルトンには先見性があったのではないかとされる。