営団型放送

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営団型放送とは、駅自動放送の種類。東京メトロの前身帝都高速度交通営団(営団地下鉄)により使用が開始された。

営団では1969年の千代田線開業時より北千住駅など主要駅で乗客への注意喚起を目的に接近時に放送装置備え付けのIC音声ファイルと思われる簡易放送を使っていた(営団1型と同じ可能性はあるが詳細不明)が、常磐緩行線との直通開始後、常磐線沿線の国会議員をはじめ利用者から行き先が分からないとの苦情があったことから1972年の代々木公園延伸に合わせて千代田線の主要駅のB線(綾瀬方面)に限り日本信号製?の反転フラップ式発車案内表示器と女声詳細放送(営団2型)を併用した旅客案内システムを試験的に導入したのがそのはじまりとなる。その後は千代田線で改良が重ねられた後、1980年から1983年にかけて各線標準タイプが順次導入され、1990年代以降の「LED統合型」発車標の登場とともにこれらを置き換える形でメトロ化後も使用されていた一連の営団型放送が登場した。

後身の東京メトロのものと同様詳細型は基本的に発車標と連動したものだが、導入時期によってさまざまなタイプがあり、同じ型の放送でも収録時期によってアナウンス担当者が異なることも多く種類は豊富。

営団1型放送[編集]

営団銀座線表参道駅丸ノ内線荻窪線区間、東西線の地上区間の一部駅(1990年代初頭までは全駅、後に縮小し末期は原木中山駅など)、千代田線の北綾瀬支線で使われてた簡易放送。

使用開始時期は不明だが、相当古いタイプのもので、基本的に接近放送と発車放送もしくは戸閉放送のみであり、戸閉放送の文面も「ドアーが閉まります。ドアに挟まれないようご注意下さい。」と他とはまったく異なるものであった。

アナウンスは男声、女声共に不明である。

営団2型放送[編集]

1972年から1981年まで営団千代田線にて使用されていた営団型放送。営団地下鉄では初となる詳細型放送で、1980年以降銀座線を除く当時の営団6路線に導入された詳細型放送のプロトタイプである。

1972年の千代田線代々木公園延伸に当たって設置された日本信号製?反転フラップ式発車案内表示器と連動したもので、当初は主要駅のB線のみで使用開始し声も女声のみであったようだが、代々木上原延伸の前年の1977年頃までにA線側と主要駅以外でも当時終日立会であったすべての駅に発車標が追設されるのに合わせて島式ホームではA線を女声、B線を男声として対向男女別の放送となり、1979年頃までに千代田線のうち営団の管轄する全駅で発車標とともに使用を開始した。

千代田線のほかには日比谷線霞ケ関駅などでも試験的に導入されていた可能性がある。

放送文面や仕様を含めて、現在まで続く営団・メトロ放送の基礎となったタイプだが、対向男女別仕様は飽くまで島式ホームでの誤乗防止を目的としたものであったのか根津 - 町屋の二層式ホームにおいてはいずれの方面も女声のみであるなどアナウンスの男女分離は不徹底であった。また、放送文面も発車放送が「まもなく発車致します。閉まるドアにご注意下さい。」(後のものは「まもなく」がない)であったり、二層式ホームの到着放送の行き先案内ではでは「この電車は、〇〇行きです。」(後のものは「○番線の電車は」)、乗換案内放送では「〇〇線ご利用の方はお乗り換えです。」と「〇〇線はお乗り換えです。」(後のものは後者に統一)が混在する、都営地下鉄の3路線(浅草線、三田線、新宿線)を区別せず一様に「都営地下鉄線」(後のものは各線を区別)と案内するなど、その後のものとは異なる点も存在した。

アナウンスは男声、女声共に不明である。

営団3型放送[編集]

1980年から1994年まで営団日比谷線、東西線の中野 - 東陽町間にて使用されていた営団型放送。

1970年代に千代田線で導入されたプロトタイプ(詳細放送と表示器の連動案内システム)の知見をもとに1980年から1983年にかけて銀座線を除く営団の6路線で順次使用を開始した普及型の一つ。

1980年に稼働開始した日本信号製?反転フラップ式発車案内表示器と連動したもので、この代以降はホーム構造と無関係に全駅が対向男女別となり、その後の営団型放送で用いられる放送文面が確立された。

女声は基本的に同じ声が使用されているが、男声は日比谷線に多かった導入当初の暗めのものと東西線に多かった松田隆?によるものの2種類が存在した。

アナウンス[編集]

  • 男声:不明→松田隆(未確定)(日比谷線ではあまり使用されなかった)
  • 女声:不明

営団4型放送[編集]

1981年から1997年まで営団千代田線にて使用されていた営団型放送で、1980年代初期に順次導入された普及型の一つ。

普及型ではあるが、連動先のハードとなる発車案内表示器は営団2型と同様に1972年から1979年頃にかけて設置された日本信号製?反転フラップ式発車標で、1981年8月頃?から営団2型で使用されたシステムのみを順次更新して使用開始されたものであるため、見方によっては営団2型のシステムを営団3型以降の標準仕様へ対応させた改良型ともいえる。

基本的に放送文面も3型以降の普及型のものに合わせられたが、こうした経緯によるためか初期のものは都営地下鉄各線の乗換案内や二層式ホームでの到着放送の行き先案内では営団2型の文面を踏襲しており、他線の普及型と完全に文面が一致するのは男声が村山明に変更された後期タイプ以後からである。

アナウンス[編集]

営団5型放送[編集]

1982年から1997年まで営団半蔵門線にて使用されていた営団型放送で、1980年代初期に順次導入された普及型の一つ。

半蔵門線の半蔵門延伸に合わせて1982年から導入された東芝製の発車案内表示器と連動したもので、連動先の発車標は導入当初角形白色ドットによる液晶式であったが、1989年の三越前延伸以降のものは3色LED式となっている。(メーカーは同じく東芝製)放送のアナウンサーは、男声は1997年9月頃に営団8A型に更新されるまでの間一貫して小早川正昭によるものであったが、女声は導入当初から三越前延伸前の1988年頃までのもの(担当者不明、暗めの声でやや早口に感じられる)と1989年の三越前延伸時から翌年水天宮前延伸前までのもの(同じく担当者不明、先代に比べると明るくゆっくりで小野由美子に近いが別人である。乗換案内放送など一部パーツは初代女声を引き続き使用)と1990年の水天宮前延伸以降1997年に更新されるまでの小野由美子によるものと2度変遷している。

アナウンサー[編集]

営団6型放送[編集]

営団丸ノ内線の池袋 - 新宿間と営団有楽町線にて使用されていた営団型放送で、1980年代初期に導入された普及型の一つ。丸ノ内線では1997年まで、有楽町線では2001年9月まで使用された。

有楽町線の営団成増延伸に合わせて1983年から導入された日立製丸型白色ドット液晶式の発車案内表示機と連動したもので、同年中に発車標が設置された丸ノ内線でも同一の仕様が採用されている。

男声は導入当初小野裕史(小野厚徳)に酷似した声で、1994年の新線池袋開業に伴う改修以後のものは横浜市営地下鉄・東京モノレール・東葉高速鉄道などでも使用された男声となっているが、両者の声の差は加齢による声質変化でどちらも同一人物との説もある。男声はこの頃の改修より一通り新しいものに切り替わったが、女声は、1994年以降後継放送への更新まで駅によって従来と同じものとより年老いた女性のような声の更新タイプが混在した。

なお、新木場駅での乗り換え放送では、「りんかい線」を「臨海副都心線」と案内していた。(営団8B型放送では、「りんかい線」と案内していた。)

アナウンサー[編集]

営団7型放送[編集]

1991年から、南北線と都営浅草線にて使用開始され、1993年末から日比谷線、1994年夏から東西線にて順次導入されていた放送。この放送は、営団のほか、旧NOA型放送や、京成旧旧旧標準型放送でも同様のものが使用されていた。なお、都営浅草線含めて、他の放送では、接近放送がなる前に4点チャイムがなっていた。

この代以降営団時代から東京メトロ初期に導入されたものと連動する発車案内表示器は、従来の行先のみならず、発車時刻や現在時刻を同一筐体で案内するLED式統合型のものとなり、営団7型では基本的に角にエッジがある初期タイプの日本信号製LED式統合型発車標が基本的に連動先のハードとなっている。

都営浅草線では、2001年頃から2003年にかけて都営独自の放送へ、東西線は、2007年までには営団8A型放送へ、残りの日比谷線は2016年から前期タイプの、南北線は2019年頃から後期タイプのメトロ型放送に変更されている。

東西線は南北線と同じ声のトーン(高め)だったが、2000年に開業した妙典駅に関しての追加放送は、日比谷線と同じトーン(低め)となっていた。

また、日比谷線と南北線では、乗り換え放送が発車放送後に流れるようになっていた。

アナウンス[編集]

  • 男声:小野厚徳
  • 女声:小野由美子

営団8型放送[編集]

営団時代の1996年以降新規導入分よりメトロ化後も2016年以降2020年にかけてLCD式発車標連動タイプのメトロ型の新型放送へ順次更新されるまで使用された日本信号製LED式統合型発車案内表示機と連動した駅自動放送で、全盛期には東京メトロの9路線中日比谷線と南北線を除く7路線で使用される最大派閥となっていた。そのほか、メトロ以外の一部の事業者でも採用されてはいたが、2024年現在も現役で使用されているのはりんかい線のみである。

東京メトロにおいては、男声は基本的に長谷川浩大で統一されているが、女声は導入時期により岡浩子(1996年 - 2001年初頭頃)、豊田真由美(2001年後半 - 副都心線開業前)、羽鳥美由希(副都心線開業以降)に分かれている。但し、副都心線が開業した2008年以降豊田真由美の代役として有楽町線・副都心線池袋駅の大部分のパーツを羽鳥が入れ替えて担当したほか銀座線の追加パーツも担当し、2013年以降は岡浩子の代役としても各種追加パーツを担当していたほか、一方で、男声においても長谷川浩大の無期限活動休止に伴い、2010年頃以後の追加パーツは代役として伊藤英敏が担当していたため、末期の新規収録分は営団8型の全路線で伊藤英敏と羽鳥美由希のペアとなっていた。

営団8A型放送=[編集]

丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線にて、営団からメトロをまたいで、メトロ型放送に変更されるまで使用されていた放送。

1996年に千代田線で初登場し、翌年中に更新された丸ノ内線や半蔵門線もこのタイプで更新。2000年頃から東西線の営団1型使用駅や自動放送のなかった南砂町駅で導入されたのを機に東西線でも使用開始し2007年のCS-ATC化の頃までに東西線全駅が8A型に更新された。他にもりんかい線都営三田線でも使用されていたが、放送内容は一部異なったりしていた。

なお、東西線では、乗り換え放送が発車放送後に流れるようになっていた。

アナウンス[編集]

  • 男声:長谷川浩大、伊藤英敏(東京メトロの追加放送)、不明(合成音声、おそらく株式会社AIのせいじ)(りんかい線の追加放送)
  • 女声:岡浩子、羽鳥美由希(東京メトロの追加放送)、不明(合成音声)(りんかい線の追加放送)

営団8B型放送[編集]

銀座線と有楽町線、副都心線の池袋駅にて、営団からメトロをまたいで、メトロ型放送に変更されるまで使用されていた放送。

2001年9月頃に有楽町線で初登場し、2002年頃より発車標と駅自動放送が導入された銀座線でも用いられた。

有楽町線では間が他路線に比べて、短めな放送だった。そして、新線池袋駅は他よりも早口な分、接近放送が流れるのが、比較的遅いことなどの特徴が多かった。

また、副都心線が開業した2008年頃から、有楽町線と副都心線池袋駅では接近放送と到着放送の駅名連呼・一部乗換案内を除く放送が女声のみ羽鳥美由希に変更され、「ゆりかもめは」などの追加放送も担当されることになった。

逆に男声側も2010年代頃から、長谷川浩大の療養に伴う無期限活動休止に伴い伊藤英敏が「Sトレイン」といった、追加放送を担当している。

アナウンス[編集]

営団8C型放送[編集]

池袋駅を除く副都心線にて、メトロ型放送に変更されるまで使用されていた放送。 乗り換え放送が発車放送後に流れるようになっていた。 なお現在でも、渋谷駅の副都心線方面への発車放送のみで使用されている。

アナウンス[編集]

  • 男声:長谷川浩大、伊藤英敏(追加放送)
  • 女声:羽鳥美由希