動詞の体

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動詞の体またはアスペクトとは動詞の不完了体と完了体の対のことで、スラブ系言語に多く見られる。本項ではロシア語を中心に解説する。

概要[編集]

めんどくさいと思われがちだが、双方の定義を理解すれば簡単に取り扱うことができる。

不完了体[編集]

不完了体とは、現在の動作、過去に起こったこと、未来にすることなどの基本的な形である。現在形だと「~します、~しています」、過去形だと「~していた、~した」、未来形だと「~するでしょう」となる。

Я говорю по-русски.
私はロシア語を話します。
Он будет идти во Владивосток на следцющей неделе.
彼は来週ウラジオストクに行くでしょう。
Мы забывал писать отчет.
私たちはレポートを書くのを忘れていました。

完了体[編集]

対して完了体とは、ある一瞬の動作を表す。現在形だとこれから行うことになるので未来形が存在しない。過去形に直すと「~してしまった」現在形だと「~してしまいます」となる。

例文は比較するために不完了体のものを流用する。

Я сказаю по-русски.
(今から)ロシア語を喋るよ。
Он пойдёт во Владивосток завтра.
彼は明日ウラジオストクに行ってしまう。
Мы забыл написать отчет.
私たちはレポートを書くのを忘れてしまいました。

比較[編集]

Я говорю по-русски.⇔Я сказаю по-русски
私はロシア語を話します。⇔ロシア語を喋るよ。

これは、「私」が普段することと、これから「私」がすることの違いである。

Он будет идти во Владивосток на следцющей неделе.⇔Он пойдёт во Владивосток завтра.
彼は来週ウラジオストクに行くでしょう。⇔彼は明日ウラジオストクに行ってしまう。

これは、遠い未来と直近の未来を表すかの違いである。

Мы забывал писать отчет.⇔Мы забыл написать отчет.
私たちはレポートを書くのを忘れていました。⇔私たちはレポートを書くのを忘れてしまいました。

これは、ある過去の時点での動作と直近で起こった動作が現在でも継続されている状態かの違いである。

不完了体と完了体を交えた会話文[編集]

А:Какой фильм ты смотрите? (どんな映画を見るのですか?)
Б:Я часто смотрю научно-фантастиский фильм. (SF系をよく見ます。)
Б:Я вчера посмотрел его. (昨日見たばっかりです)
A:Я понимаю. А, ты смотрел Звездные войны? (なるほど、スターウォーズは見たことありますか?)
Б:Да, конечно. (はい、もちろん)

対応[編集]

する、作る
言語 不完了体 完了体
ロシア語 делать сделать
チェコ語 dělat udělat
セルビア語 радити урадити

このように接頭辞が付くことで不完了の意味が完了になる。(その逆もあり。)ただし、不完了体と完了体が全く対応していない動詞も存在するので注意。

ハンガリー語[編集]

スラブからははるかに系統の違うハンガリー語は、実はこれにも体のアスペクトのような文法が存在する。ただし、ハンガリー語では文法的にペアを作っている訳ではなく、接頭辞megを普通動詞の前につけることでその動詞が完了体に近い形になる。

例文
Ki a bejglimet eszett? (私のベイグリを食べたのは誰だ?)
Én őt 10perca megeszettem. (私が10分前に食べちゃいました。)

関連項目[編集]