制御性T細胞

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制御性T細胞(せいぎょせいてぃさいぼう、英Regulatory T cells、略称Treg)は免疫細胞が過剰に働くのを抑制する制御機能を持つT細胞の一種である。

経歴[編集]

制御性T細胞は体内の免疫細胞の数%しかないが、自己免疫反応を抑制する働きがある。1995年に坂口志文が提唱した。制御性T細胞の機能が低下すると、免疫システムのバランスが崩れ、関節リウマチや1型糖尿病、多発性硬化症を引き起こす。制御性T細胞は3種類ある。第一は胸腺由来制御性T細胞、第二は末梢由来制御性T細胞、第三は誘導性制御性T細胞である。1995年に坂口志文教授は制御性T細の存在を証明する論文を発表し、ブレーキ役を「制御性T細胞(Treg(ティーレグ))」と命名した。

プラスとマイナス[編集]

プラス面では、人間の体内で過剰に働く免疫反応を抑制でき、自己免疫疾患やアレルギー疾患の発症を防ぐ役割がある。マイナス面では、がんに対抗する免疫細胞の働きを低下させて、がん細胞が免疫から逃れることを助ける働きがある。

機能[編集]

制御性T細胞の免疫制御細胞は抗原ごとに機能する。がん抗原に関わる免疫制御細胞だけをコントロールすると、がんに対する免疫力を上げることでがん治療ができる。

FOX3[編集]

2003年に機能をもつ分子マーカーとしてFoxp3という転写因子を坂口志文は発見した。制御性T細胞の発生および機能において重要な役割を果たすマスター遺伝子である。Foxp3遺伝子に突然変異が生じると、制御性T細胞の発生は阻害され、免疫応答の制御に異常が生じることから証明された。さらにFoxp3とIkzf1の相互作用が制御性T細胞(Treg)の機能安定性維持に重要であることも判明した。Tregはあらゆる免疫応答の抑制的制御に関与する。Ikzf1は自身のExon5領域 (IkE5) を介してFoxp3と結合することが判明した。

ノーベル賞[編集]

2025年10月6日、大阪大学の坂口志文特任教授は「免疫が制御される仕組みの発見」により、メアリー・ブランコウフレッド・ラムズデルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞した[1]

参考文献・注[編集]