数学の解析学分野に於ける冪級数(または整級数)とは(普通の)級数に独立変数xの冪関数を掛けたものである。変数xに何らかの値を代入すれば唯の級数になる。
またこの冪級数はより一般な概念である関数級数 の特別な場合に過ぎぬのだがここでは触れない事にする。
の特別な場合に過ぎぬのだがここでは触れない事にする。
基本的には以下のよーな式で表わされる。;
 
実用的には とおいた所謂零まわりの冪級数
とおいた所謂零まわりの冪級数
 
がよく使われる。以下、本稿でもこの零まわりのやつを扱う事にする。
ちなみにこの冪級数 変数xの値によっては収束したりしなかったりする。公比rを変数xと考えたら幾何級数
 
も冪級数の一種と言える。勿論xが1よりも大きい場合は∞に発散する。
収束半径[編集]
冪級数には後述するように収束半径とゆー特殊な概念が存在する。
まず以下の定理が成り立つ。;
- 冪級数 が が で収束するとき で収束するとき なる任意の実数 なる任意の実数 で収束する。 で収束する。
証明
普通の級数 が収束すれば極限
が収束すれば極限
 
が成り立つので十分大きなnに対して が言える。
そして
が言える。
そして
 
を得る。上式の最右辺は公比 の幾何級数だから収束する。従って
の幾何級数だから収束する。従って も収束する。(証明終)
も収束する。(証明終)
上述の定理を用いて正数 を
を
「冪級数 が収束するもの全体Aとしないもの(発散するもの)全体B」
が収束するもの全体Aとしないもの(発散するもの)全体B」
に分けたとすると であり
であり は正のx全体だから「実数の連続性」より収束・発散の境目となるよーな実数rが存在する(※証明は難解なんで略す)。このよーな実数rを収束半径と呼ぶ。ここで任意の実数xで収束する場合は
は正のx全体だから「実数の連続性」より収束・発散の境目となるよーな実数rが存在する(※証明は難解なんで略す)。このよーな実数rを収束半径と呼ぶ。ここで任意の実数xで収束する場合は 、零以外のすべての実数で発散しちゃうよーな場合は
、零以外のすべての実数で発散しちゃうよーな場合は と約束しておく。
と約束しておく。
冪級数 にダランベールの判定法を適用すると
にダランベールの判定法を適用すると のとき
のとき
 
が成り立つ。ここで なら上記の冪級数は収束し、
なら上記の冪級数は収束し、 なら発散するから1/βは収束・発散の境目であり収束半径に等しい事が分かる。従って次の公式が得られた事になる。;
なら発散するから1/βは収束・発散の境目であり収束半径に等しい事が分かる。従って次の公式が得られた事になる。;
 
この公式で収束半径rを計算する事ができる。
項別微分[編集]
以下に述べる命題は冪級数論に於ける最重要定理の一つである。(☆証明超大変ですわよ…orz)
無限冪級数
 
の収束半径が である時
である時 は収束域内で微分可能であり
は収束域内で微分可能であり
 
が成り立つ。
証明 微分する前の冪級数と微分したあとの冪級数をそれぞれ
 
とおくとこれらの冪級数は収束半径が共にrである事が前節の定理より分かる。ここで
 
と置き、g(x)の番号nをn+1に変えたら
 
となるが、これの係数にダランベールの判定法を適用すると
 
が成り立つ。ここで なる定数
なる定数 を考えると以下の等式が言える。
を考えると以下の等式が言える。
 
従って次式が成り立つ。
 
ここで なる区間にて二回連続微分可能な関数
なる区間にて二回連続微分可能な関数 を考えるとテイラーの定理より
を考えるとテイラーの定理より のとき
のとき
 が成立する。これより
が成立する。これより のとき
のとき に対して
に対して
 が言える。ただし
が言える。ただし 。ここで右辺第1項&第2項を左辺に移項して「両辺÷Δx」したら
。ここで右辺第1項&第2項を左辺に移項して「両辺÷Δx」したら
 が求まる。これから
が求まる。これから
 が得られる。ここで
が得られる。ここで より
より なる
なる をとって
をとって の範囲で極限
の範囲で極限 をとった時
をとった時
 
及び
 
が成り立つ。これにより
 が得られる。ここで
が得られる。ここで
 
なる無限級数を考える。これにダランベールの判定法を使うと
 
となるから無限級数Mは収束する。従って
 となり
となり
 
が成り立つ。そして上式にて の極限をとれば
の極限をとれば 即ち
即ち が得られる。従って
が得られる。従って
 
が導かれた事になる(証明終)
_:(´ཀ`」 ∠):…返事が無い…ただの屍のようですわ…★
項別微分の応用[編集]
上述の通り項別微分しても収束半径は変わらないので冪級数は収束域内で無限回微分可能である。そこで冪級数をr回微分したら
 
 
となるが、ここで上式に を代入したら
を代入したら
 
を得る。ここで「 」が成り立つと仮定すれば上記級数で零でない項は
」が成り立つと仮定すれば上記級数で零でない項は の項だけであるから
の項だけであるから
 
が求まる。ゆえに次の等式が成り立つ。;
 
これは所謂零でのテイラー展開に他ならない。//