レッドブル・ホンダ RB16B
レッドブル・ホンダ RB16Bは、レッドブル・レーシングが2021年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。テクニカルディレクターはピエール・ワシェ。
概要[編集]
RB16Bは、2020年シーズンに投入されたレッドブル・ホンダ RB16の改良型として設計された。FIAが2021年シーズンに向けて導入したコスト削減策の一環として、主要コンポーネントの開発が制限されたため、前年のシャシーをベースとしつつ、空力的な改良とエンジンサプライヤーであるホンダによるパワーユニットの進化が図られた。
このマシンは、レッドブル・レーシングとホンダとのパートナーシップにおける集大成とも言える存在であり、ホンダがF1活動を一時休止する前の最後のマシンとなった。
2021年シーズン[編集]
RB16Bは、ドライバーにマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスを擁し、メルセデスAMG F1 W12 Eパフォーマンスを駆るルイス・ハミルトンとの激しいチャンピオンシップ争いを繰り広げた。
シーズン開幕前のプレシーズンテストから高いパフォーマンスを発揮し、開幕戦の2021年バーレーングランプリではフェルスタッペンがポールポジションを獲得するなど速さを見せた。シーズン中盤にかけては、フェルスタッペンが安定して上位争いを繰り広げ、特に高速サーキットやダウンフォースが要求されるコースで強みを発揮した。
RB16Bは、卓越した空力性能とホンダ製パワーユニット「RA621H」の信頼性と出力向上により、シーズンを通して高い競争力を維持した。特に、リアサスペンション周辺やフロアの改良が功を奏し、規制の変更に効果的に対応した。
最終的に、マックス・フェルスタッペンは最終戦の2021年アブダビグランプリで劇的な勝利を収め、自身初となるドライバーズチャンピオンシップを獲得した。コンストラクターズチャンピオンシップでは惜しくもメルセデスに及ばなかったが、RB16Bはレッドブル・レーシングに2013年シーズン以来となるドライバーズタイトルをもたらし、ホンダにとっても1991年シーズン以来のドライバーズタイトル獲得に貢献した。
テクニカルスペック[編集]
- シャシー:カーボンファイバーモノコック
- エンジン:ホンダ RA621H 1.6L V6ターボ
- ギヤボックス:レッドブル製8速セミオートマチックシーケンシャル
- タイヤ:ピレリ
- 燃料:エッソ
- 潤滑油:モビール1
豆知識[編集]
RB16Bは、ホンダが「RA621H」と名付けたパワーユニットを搭載しており、これはホンダがF1に投入した最後の新型パワーユニットであった。レッドブル・ホンダは、RB16Bで合計11勝を挙げ、これはレッドブル・レーシングの歴史上、最も成功したマシンの一つである。
関連項目[編集]
参考書籍[編集]
- 『F1速報』(三栄)
- 『autosport web』バックナンバー記事