ミッドシップ隼
『ミッドシップ隼』(ミッドシップじゅん)は、池沢さとしのカーアクション漫画。
架空の自動車メーカーが開発するミッドシップカー「ハヤブサ」のテストドライバーとなった鬼頭隼と、実在の車、他の自動車会社のライバルカーやライバルドライバーとのデッドヒートを描く。
概要[編集]
『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1983年50号から1985年21号まで連載された。単行本は全9巻
池沢のカーアクション漫画『サーキットの狼』は日本にスーパーカーブームを引き起こした人気作品であるが、本作もその流れを汲んだ作品となっている。
連載当時、日本においては「ミッドシップ」という言葉そのものが認知されているとは言い難い状況であったが、池沢は「1984年はミッドシップ元年と言われる」とし、数年後には今(1984年時点)のターボ車と同じくらいミッドシップは一般的なものになるという予測をし、本作に登場する「ハヤブサ」は時代の夢を先取りした自身のミッドシップ車へのラブコールであると単行本1巻に記している。
現実にトヨタ・MR2がリリースされる前後のタイミングで連載が開始しており、作中にも1983年の東京モーターショーで発表されたMR2の試作仕様のコンセプトカー・SV-3が登場している。
『サーキットの狼』と異なり、「ハヤブサ」開発過程で起きたトラブル、設計不良に起因する事故などを経て徐々に完成していく過程が丹念に描かれている。開発や車のバリエーションの拡充にも頁が割かれている。
あらすじ[編集]
鬼頭 隼(きとう じゅん)はレーサーの夢を抱きつつ、牛乳配達を行っていたが、そのドライビングテクニックを見込まれて、相棒のジャッキー花園ともども白鳥自動車が開発する国産ミッドシップスポーツカー「ハヤブサ」のテストドライバーとなり、数々のレースやバトルを転戦する。
完成した「ハヤブサ MS-O」のお披露目として開催されたミッドシップ車のみで日本を縦断する公道レース「列島縦断ミッドシップレース」で、隼は勝利するが、次々に現れるライバルレーサーとのバトルや白鳥自動車のライバル企業マシンとの開発競争へ飛び込むことになる。
登場企業[編集]
トヨタ、日産、ホンダ、マツダなどの日本の自動車企業やフェラーリ、ランボルギーニ、ロータスなども登場する。
- 白鳥自動車
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- ハヤブサ MS-O
- V8の3リッターエンジンを搭載するタルガトップ車。エンジンスペックは250馬力、トルク30キロ、ゼロヨン14.3秒。
- エンジン出力に足回りがついていけない、ブレーキ性能が劣る、冷却系でトラブルが発生するといった現実のトヨタ・MR2 SW20型と同様の開発トラブルを経て完成した。なお、トヨタ・MR2 SW20型の発表は1989年10月で、トラブルと改良は販売開始後に行われているので、本作のほうが現実を先取りした形となっている。
- 試作タイプと量産タイプとでは微妙に外見が異なる。市販価格は300万円を切る。
- ハヤブサ MS-R
- グループB仕様としてエンジンを300馬力にチューンナップし、200キロの超軽量化を図った車。
- サクラ自動車
- 日本初のミッドシップ車を製品化した自動車会社。白鳥自動車のライバル企業である。
- ダイヤモンドVVSⅠ
- 水平対向6気筒3リッッターターボエンジン搭載の(本作の中では)日本初のミッドシップ車。280馬力、トルク35キロ。ガルウィングドア搭載。市販価格は300万円を切る。
- ダイヤモンドVVSⅡ
- ツインターボ化し、330馬力にパワーアップした新型モデル。
- 過給圧を0.6から1.2の間で任意に変更することで瞬間的に380馬力を出すギミックを搭載している。