フリーエネルギー
フリーエネルギー(free energy)とは、外部からのエネルギー供給なしに無限、あるいはそれに近い量のエネルギーを取り出せると主張される架空のエネルギー、またはその装置を指す用語である。 しかし、現時点でフリーエネルギー装置の実在を支持する、再現可能かつ第三者による検証済みの科学的証拠は存在しない。
概要[編集]
フリーエネルギーは主に疑似科学・陰謀論・詐欺的商法の文脈で語られる概念であり、物理学の基本原理であるエネルギー保存則および熱力学第二法則に明確に反する。 仮にフリーエネルギー装置が実在するとすれば、現代物理学の体系そのものが根底から覆ることになり、ノーベル賞どころでは済まない科学革命となる。
しかし、そのような事態はこれまで一度も起きていない。
物理学との矛盾[編集]
フリーエネルギー装置の多くは、入力以上の出力を得られる、あるいは入力が不要であると主張されるが、これは永久機関と同義である。
いずれも理論上不可能であり、これまでの実験・観測結果とも整合しない。
量子力学における真空エネルギー[編集]
量子力学においては、真空が完全な「無」ではなく、真空エネルギーやゼロ点エネルギーと呼ばれる揺らぎが存在することが知られている。
しかし、
- それを取り出して仕事に変換する方法は存在しない
- 現在の理論および技術では原理的に不可能とされている
にもかかわらず、これを都合よく解釈し「量子真空から無限のエネルギーを取り出せる」と主張する例が後を絶たない。
ギブズ自由エネルギー[編集]
「フリーエネルギー」という名称から、ギブズ自由エネルギーと混同されることがあるが、両者は全くの別物である。
ギブズ自由エネルギーは化学反応の自発性を評価するための物理量であり、
- 無限のエネルギーを生み出すものではない
- 保存則や熱力学に完全に従う
名称が似ているだけで、フリーエネルギー装置の根拠にはならない。
よくある主張のパターン[編集]
フリーエネルギー関連の言説には、ほぼ定型化した主張の組み合わせが見られる。
- 「画期的な装置を発明した人物がいる」
- 「石油企業・政府・軍がそれを危険視して潰した」
- 「特許が存在するから本物である」
- 「既存の物理学は嘘、または意図的に隠されている」
これらは陰謀論の典型的なテンプレートであり、科学的反証が提示されると「弾圧」「隠蔽」を理由に検証を拒否する点も共通している。
なお、特許の存在は装置の有効性を一切保証しない。特許制度は発明の新規性を審査するものであり、物理法則との整合性や実用性を検証する仕組みではない。