パラレル狂室

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パラレル狂室』(パラレルきょうしつ)は、吾妻ひでおによる連作短編漫画、および表題作とした短編集。

奇想天外社から1979年に刊行されている。全1巻。

パラレル狂室[編集]

高1コース』(学習研究社)において1978年4月号から同年10月号まで連載された。全7話。

各話間にストーリーの継続性、関連性は無い。各話の主人公は同デザインだが、名前を呼ばれることはなく、同一人物とも同一人物でないとも取れるようになっている。「パラレル」はSF界隈では「パラレルワールド」、「並行世界」の意もあり、他の世界線における同一人物の解釈も可能である。

  1. テレビ
    「本日の放送を終了します」と画面表示されるまでテレビを見ていた主人公が、テレビのスイッチを切って寝ようとしたところ、テレビから「消さないでくれ」という声がする。「テレビ放送がオートメーション化して、複雑化してどうこうしているに、思考力を持つようになった」そうだ「なんでも見たいもの映す」から消すなというテレビに主人公は喜ぶのだったが……。
  2. 恐竜
    学校の教室で、ナハハ先生の語る人類の進化についてという授業を聞いていた主人公は、なぜか原始人に変身する。教師が授業を続けると、主人公恐竜に変身してしまった。
  3. くせ
    ラブレターにokの返事をもらった主人公。しかし、相手の美少女には「好きになった人そっくりになる」という。気にせずデートする主人公であったが、いつしか美少女は主人公そっくりの言動になり、外見もそっくりになってゆく。
  4. ヒモ
    ナハハ先生の英語の授業中(なお、テキストは『不思議の国のアリス』)、退屈した主人公が教室の窓の外を眺めていると空から紐が降りてくる。
  5. 怪物
    主人公が嫌がる妹を足蹴にし、妹の貯金箱から金を取り出して買い物に行こうとすると、巨大な猫が怒って主人公に襲い掛かる。どうやら妹の無意識下の、いわゆる「イドの怪物」らしい。
  6. 落し物
    補習を受けて帰りが遅くなった主人公。夜の公園でいちゃつくカップルを横目に彼女が欲しいと涙ぐむ。すると道端に全裸の美女が倒れて寝ていた。主人公は全裸美女を家へ連れ帰る。
  7. 地下室
    明日の試験に備えて猛勉強中の主人公。眠気覚ましに顔を洗いに行き、部屋に戻ろうとすると廊下に何か入口が開いて下り階段が見えている。地下室があったのかと思って階段を降りるとわらかいベッドがある。そしてまた下に続く階段が……。

妖精狩り[編集]

週刊少年チャンピオン』(秋田書店)1978年7月31日号に掲載。『ひでお童話集』(双葉社、1984年刊)にも収録されている。

あらすじ
少年が仕掛けた粘着式ゴキブリ捕りに引っかかっていたのは、妖精だった。
「助けてくれたら、なんでも言うことをきく」という妖精に少年が命じたのは「シャケの切り身の万引き」だった。

ラ,バンバ[編集]

ラ,バンバ」は『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1971年1月1日号から同年2月15日号に連載された全6話であるが、その中の第2話、1971年1月4日号に掲載された「ヒューマノイド・ミニーの巻」のみが、本書に収録されている。

なお、第1話、第3話、第4話、第5話は『きまぐれ悟空』第2巻(朝日ソノラマ、1977年刊)に収録されている。最終、第6話「おわりの巻」は単行本未収録(2025年時点)。

ラ,バンバ
マッド・サイエンティストのMr.ウイ、Mr.ウイの娘のあき子、Mr.ウイの弟子の弟子(主人公)が巻き起こす騒動。
ヒューマノイド・ミニーの巻
妖精のような小さな「ヒューマノイド・ミニー」を量産し、これで大儲けを企むMr.ウイであったが、ミニーはどんどん進化してゆくのだった。

ふらふら少年漂流記[編集]

『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1971年1月1日号掲載。『あめいじんぐマリー』(秋田書店、1985年刊)にも収録されている。

あらすじ
塾へ行くため、家を出た主人公の少年。夏の強い陽射しのために倒れてしまう。通りすがりの3人の少年に踏まれた主人公は3人をぶちのめし、持ち物を巻き上げるとタバコをふかし、タクシーに乗って海へ。

トラウマがゆく![編集]

『まんがドンキイ』(双葉社)に1978年12月23日号と1979年1月13日号(休刊号)に掲載された。

  1. セールスマン
    激しいノックの音に住人がドアを開くと、口を開いた無表情な男(トラウマ)が立っている。しかし、男は無言のまま突っ立っているだけ、住人が胸倉を掴むとようやく「セールスマンです」という返事をするが、その後は無言のまま。
  2. インタビューアー
    口を開いた無表情な男(トラウマ)は通勤ラッシュの電車の車両内で若い女にインタビューを申し込む。断る女だったが、例によって男は無言無表情で涙を流すだけ。折れた若い女が「何が聞きたいのか」と問うとトラウマの返答は「ナニがと言われても……」。

どーでもいんなーすぺーす[編集]

SF漫画雑誌の『月刊Peke』(ペケ、みのり書房)にて1978年9月号から1979年2月号まで連載された。

  1. つかれる方程式
  2. 惑星間スカウター
  3. 少女と犬と猫とブタと馬と牛と
  4. すーぱーがーる
  5. 恍惚都市
  6. いもむし以上

ネリマー国物語 Oの泉篇[編集]

『マンガ少年』(朝日ソノラマ)にて1978年11月25日増刊号に掲載された。『ひでお童話集』(双葉社、1984年刊)にも収録されている。

ひでお童話集[編集]

漫画アクション増刊 いしいひさいちがんばれ!!タブチくん!! Part2』(双葉社)1979年4月22日号に全話掲載された。『ひでお童話集』(双葉社、1984年刊)にも収録されている。

  1. 神様
  2. 王様
  3. 不思議なカラス
  4. 悪魔

詳細は「ひでお童話集」を参照

不条理日記[編集]

『奇想天外』(奇想天外社)昭和53年12月別冊に掲載された。

詳細は「不条理日記」を参照

吾妻ひでおのみたされた生活[編集]

月刊OUT』(アウト、みのり書房)1978年8月号に掲載された。