パキちゃん
パキちゃんは、SNS「X」(旧Twitter)で活動していた匿名相談アカウントである[1]。若年層や水商売・風俗業など「夜職」に従事する女性を主な対象とし、恋愛・性・メンタルヘルスなど多様な悩みに回答したことで注目を集めた[2]。語尾に「〜だゆ」を付け、涙ぐむ顔文字「🥹」を多用する独特の文体が特徴で、フォロワーは最盛期に約30万人に達したと報じられている[1]。2025年2月24日、同アカウントはX社により凍結(アカウント停止)され、その経緯と影響が複数メディアで報道された[3]。
活動内容[編集]
パキちゃんは自称風俗嬢であり、パパ活、チャットレディ、下着販売など多様な手段で生計を立てていると発信していた[4]。匿名質問箱サービス「mond.how」を通じ、性被害・恋愛・家庭問題・精神疾患・経済的不安など多岐にわたる相談に回答した[5]。回答は「優しいが率直」とされ、たとえば不倫関係に悩む女性には「それは彼氏ではなく不倫相手」と断じるなど歯に衣着せぬ助言で知られた[5]。旧アカウントの投稿はInternet Archiveに保存されており(2023年12月時点アーカイブ)、「未成年の性搾取を許すな」「子どもは守れ」などの強いメッセージが確認できる[6]。
“駆け込み寺”的機能[編集]
パキちゃんの投稿には他ユーザーが積極的に反応し、医療・法律の専門家を名乗るアカウントが支援窓口を示す動きも見られた[7]。このため「SNS上の駆け込み寺」として機能し、特に家族や社会から孤立した若年女性にとってセーフティネット的な役割を果たしたと評価されている[2][8]。
正体と批判[編集]
急速に影響力を高めた一方で、パキちゃんの正体は不明であり、
- パパ活アプリやマッチングアプリへ誘導する投稿が多いことから「女衒のような業者ではないか」
- 性感染症検査画像に男性項目があるとして「実は男性ではないか」
などの憶測がネット上で広まった[3][4]。未成年でも利用可能と示唆するパパ活アプリを紹介していた点から「かえって未成年を性産業に誘導していた」との批判もある[9]。なおZakzakの記事では、「風俗嬢の有名Xアカウントが24日までに凍結された」「出会い系アプリの宣伝がBANの一因ではないか」という見解が紹介されており、本人が「デリヘルとソープを掛け持ちしているアスリート」と称していたことや、フォロワーの悩みにコメントしていた運用スタイルも記されている[9]。ただし運営者の身元や目的は公的に確認されておらず、真偽は不明である。
アカウント凍結と反応[編集]
2025年2月24日、パキちゃんのメインアカウント(@pakichan_pa)が凍結された[1]。理由は公表されていないが、出会い系アプリのPR投稿などがXの規約違反と判断された可能性が指摘される[3]。凍結後、本人を名乗る新アカウントや模倣アカウントが多数出現し、いずれも短期間で凍結される「いたちごっこ」が続いた [10]。騒動を受けてネット上では「弱者救済を装った搾取アカウントが消えて当然」とする否定派と、「投稿で救われた人がいるのも事実だ」とする擁護派に議論が二分した[2][1]。
評価と意義[編集]
擁護派は、行政や医療につながる導線を提示した点や、匿名ゆえ相談しやすい場を提供した点を肯定的に評価する[2]。否定派は、未成年者を含むフォロワーに夜職やパパ活を推奨した可能性を問題視し、「善意を装った有害性」を指摘している[9]。本件は、SNSにおける相談アカウントのリスク管理や広告規制の在り方、そして公的支援が届きにくい層へのセーフティネット構築の課題を浮き彫りにしたと報じられている[3][8]。
出典[編集]
- ↑ a b c d ““SNSの駆け込み寺”で人気を集めた有名Xアカウント凍結!「風俗に誘導する業者」「実は男性」正体と功罪めぐってネット真っ中”. Yahoo!ニュース(女子SPA!提供) (2025年2月26日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b c d ““SNSの駆け込み寺”で人気を集めた有名Xアカウント凍結!”. 女子SPA! (2025年2月26日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b c d “Xアカウント凍結「フォロワー30万人の風俗娘」は何者か”. アサ芸プラス (2025年2月27日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b “パキちゃんの正体とは?ネットの噂まとめ”. miyo-trends (2025年2月28日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b “パキちゃん質問箱アーカイブ”. mond.how. 2025年5月18日確認。
- ↑ “Pakichan_pa - 旧Xアカウント(Wayback Machineアーカイブ)”. Internet Archive. 2025年5月18日確認。
- ↑ “パキちゃん相談・支援ツイートまとめ”. Togetter (2025年2月24日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b “パキちゃん凍結の理由と正体は?”. 今旬ナビ (2025年2月25日). 2025年5月18日確認。
- ↑ a b c “「パキちゃん」X凍結、BANの一因は出会い系アプリの宣伝か 風俗嬢の有名アカウント”. 夕刊フジ(zakzak) (2025年2月25日). 2025年5月18日確認。
- ↑ “有名X相談アカウント「パキちゃん」のなりすまし運営者に聞いた”. おたくま経済新聞 (2025年3月5日). 2025年5月18日確認。