ドイツの歌
ドイツの歌もしくはドイツ人の歌(ドイツ語:Das Lied der Deutschen、読み方:ダス リート デア ドイチェン)とはドイツの国歌である。
概要・歴史[編集]
1841年8月26日にヘルゴラントでアウグスト・ハインリヒ・ホフマン・フォン・ファラースレーベンが作詞した曲で、メロディーは神聖ローマ帝国及びオーストリア帝国国歌の神よ、皇帝フランツを守り給えを流用している。
作詞[編集]
作詞当時はナポレオン戦争で神聖ローマ帝国が解体されドイツ諸邦の国がバラバラになっており、同じ言葉を喋る人同士で国を統一しようとする思いが込められている。1番はドイツ人同士で団結すること、2番はドイツの文化について、3番はドイツの統一について歌っている。
ドイツ統一[編集]
しかし1871年に普墺戦争、普仏戦争によりドイツ統一(ドイツ帝国の成立)が達成されるが、この歌は国歌として採用されず、皇帝陛下万歳とライン川の守りが非公式ながら国歌として採用された。
ヴァイマル共和政[編集]
第一次世界大戦後、1919年にドイツ帝国が解体されヴァイマル共和政に移行し、この歌が初めてドイツの国歌として採用された。また4番も作られ広くこの歌が歌われた。
ナチス・ドイツ[編集]
1933年にアドルフ・ヒトラーが首相に就任しナチス・ドイツが成立すると、ヒトラーは1番の歌詞をドイツ人の優位性を訴えるものだと見なし1番のみを正式な国歌としナチス党歌の旗を掲げよとともに二重国歌とて位置付けた。
冷戦[編集]
第二次世界大戦後、ナチス・ドイツは解体され西ドイツと東ドイツに分離したわけだが、西ドイツでは引き続きこの歌が国歌として採用された。しかし3番のみを正式な国歌とした。1番は前述の通りナチス・ドイツで広く歌われたため、2番は女性差別であるからである。
ドイツ再統一後[編集]
1990年のドイツ再統一後はこの歌の3番が引き続きドイツ連邦共和国の正式な国歌として歌われ続けている。
歌詞[編集]
現在は3番のみが正式な国歌である。
番 | 歌詞 | 日本語訳 |
---|---|---|
1番 | Deutschland, Deutschland über alles, Über alles in der Welt, Wenn es stets zu Schutz und Trutze Brüderlich zusammenhält. Von der Maas bis an die Memel, Von der Etsch bis an den Belt. Deutschland, Deutschland über alles, Über alles in der Welt! |
ドイツよ、ドイツよ、 すべてのものの上にあれ 護るにあたりて 兄弟のような団結があるならば マース川からメーメル川まで エチュ川からベルト海峡まで ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ この世のすべてのものの上にあれ |
2番 | Deutsche Frauen, deutsche Treue, Deutscher Wein und deutscher Sang Sollen in der Welt behalten Ihren alten schönen Klang, Uns zu edler Tat begeistern Unser ganzes Leben lang. Deutsche Frauen, deutsche Treue, Deutscher Wein und deutscher Sang! |
ドイツの女性、ドイツの忠誠、 ドイツのワイン、ドイツの歌は 古からの美しき響きを この世に保って 我々を一生の間 高貴な行いへと奮い立たせねばならぬ ドイツの女性よ、ドイツの忠誠よ、 ドイツのワインよ、ドイツの歌よ |
3番 | Einigkeit und Recht und Freiheit Für das deutsche Vaterland! Danach lasst uns alle streben Brüderlich mit Herz und Hand! Einigkeit und Recht und Freiheit Sind des Glückes Unterpfand. Blüh' im Glanze dieses Glückes, Blühe, deutsches Vaterland! |
統一と正義と自由を 父なる祖国ドイツの為に それを求めて我らは皆で兄弟の如く 心と手を携えて努力しようではないか 統一と正義と自由は 幸福の証である その幸福の輝きの中で栄えよ 栄えよ、父なる祖国ドイツ |
4番 | Deutschland, Deutschland über alles, Und im Unglück nun erst recht. Nur im Unglück kann die Liebe Zeigen, ob sie stark und echt. Und so soll es weiterklingen Von Geschlechte zu Geschlecht: Deutschland, Deutschland über alles, Und im Unglück nun erst recht. |
ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ 艱難の時にこそ冠たるドイツよ。 艱難の時にのみ愛は 己が強さと清さの程を示さん。 かくて世代から世代へと ドイツはこれぞと遍く報らすなり。 ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ 艱難の時にこそ冠たるドイツよ。 |