トヨタ・ジャパンタクシー

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ジャパンタクシー(JPN TAXI)は、トヨタ自動車が開発、販売するタクシー向けトールワゴン型自動車である。

概要[編集]

ジャパンタクシー(JPN TAXI)
小田急交通JPN.JPG
ボディタイプ5ドアトールワゴン
形式NTP10
駆動方式前輪駆動
トランスミッション電気式無段変速機
全長4,400 mm
全幅1,695 mm
全高1,750 mm - 1,765 mm
エンジン1NZ-FXP型直列4気筒液体噴射式LPGエンジン
総排気量1,496 cc
モーター2LM型交流同期電動機
グレード
使用燃料液化石油ガス

2017年10月発売。2013年の第43回東京モーターショーに参考出品された「JPN TAXI Concept」を市販化したもので、1995年からタクシー用として販売されていた「コンフォート系」と呼ばれるコンフォートクラウンコンフォートクラウンセダンの後継車。

シエンタをベースに、タクシーとしての使用に耐えうる設計を施し、開口幅720mmを持つ助手席側後席スライドドア、車いすに乗ったままでも乗降可能な室内の広さとスロープの設置、エンジン系をトヨタ・ハイブリッド・システムを液化石油ガスに対応させるなどした。

インテリアもタクシー業務を前提としたものが随所にみられており、業務日報を記入するのに適したルームランプやタクシーメーターなどの機器を搭載する空間を設けたセンターパネル。従来の操作性に似たストレートタイプのシフター。飲料などを乗客から見えにくい位置に収納できるサイドポケットやルームランプをセンターパネルから点灯できるスイッチ、ハンドルに搭載されたハザードスイッチなど、ベース車から多数の改良点がみられている。

乗客にも快適な装備が多く、つかみやすいつり革タイプのアシストグリップや読書灯が設置されている。また、シートベルトの差込口にLEDが設置されているため夜間でも視認しやすくなっているほか、足元にも照明があるため、小物を落としても発見しやすくなっている。また、グレードによってシートヒーターやサーキュレーターも設定されており、より快適な空間の実現に一役買っている。

自社工場で塗装した例。

グレードは標準グレードの(なごみ)と上級グレードの(たくみ)の2種類を用意。塗装はカタログに設定された深藍、黒、スーパーホワイトの3種類のみで、トヨタへはこの3色のいずれかでないと注文できず、コンフォートシリーズのようなカラフルな色で塗るには自社工場での塗装が必要となる。

批判[編集]

ユニバーサルデザインとして車いすにも対応したと謳うジャパンタクシーであったが、車椅子の利用者やドライバーから評判が悪く、乗車拒否のドライバーやジャパンタクシーを拒否する車いす利用者も現れるほどであった。トヨタの想定する作業時間も見積もりが甘く、想定時間が10分のところが実際は15分以上かかるケースも出るなど、乗務員への負担が激しいものであった。 なお、ベース車となったシエンタではあるが、福祉車両のウェルキャブではリアゲートからの直接乗車が可能である。ところがジャパンタクシーは後部にLPGのボンベが搭載されているためこの手法が使えないとされる。なお、NV200タクシーについてはリアゲートからの乗り入れが可能である。タクシー業界からLPG車の強い要請あったといわれるが、このせいでタクシー業界・乗務員・利用者と自家用車として保有したいタクシーマニアから不評を買ってしまっている。

また燃費がコンフォートシリーズより大幅に改善されたことから、LPGボンベの容量もコンフォートシリーズの半分程度に減らされており、夏場などには1回の出庫で2回ガス充填が必要な場合もある。この点については2025年の一部改良で容量をアップしている。[1]

耐久性改善要望[編集]

走行距離が20万キロメートルを超えた頃からハイブリッドシステムや電動スライドドアに故障・トラブルが生じやすく、全国ハイヤー・タクシー連合会がトヨタへ耐久性を改善するよう要望を出した。

コンフォート系が消耗品の手入れさえしっかりしていれば50万キロ平気なことからするとジャパンタクシーの耐久性は大きく下がったと受け止められている。

乗り心地[編集]

従来の後輪駆動車から前輪駆動車となったが、乗り心地が悪くなるほどではなく、広い上部空間のおかげで圧迫感がなく比較的乗り心地は良い。

売上の伸び悩み[編集]

ジャパンタクシーは当初月販1000台を見込んでいたが、2023年(令和5年)のデータでこの月販目標を達成できていない。[2]

その理由として挙げられているのが

  • 車両価格が従来のコンフォート系と比較して100万円以上高額化した
  • 車椅子を乗せるのに15分以上を要するなどの使い勝手の悪さ
  • 地方を中心にLPGスタンドの廃業が相次ぎ、LPGハイブリッドであることの優位性が薄れた

といったものがある。

そのため一部タクシー会社は安価で燃費の良いガソリンハイブリッド車、特に車椅子を後部ハッチバックドアからも乗せられるシエンタでコンフォート系を置き換えるケースもある。

[編集]

  1. JPN TAXIを一部改良 2025/6/2 - トヨタ 重要なお知らせ・ニュース一覧 | トヨタ自動車WEBサイト
  2. LPG車登録台数推移 一般社団法人東京都LPガススタンド協会

関連項目[編集]