テンパータイヤ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンパータイヤとは自動車に搭載されるスペアタイヤの一種である。通常の走行には適さないタイヤであり、一時的な(temporary)車両の移動目的に使われるものである。

概要[編集]

テンパータイヤは応急的な使用に限られるタイヤであり、パンクなどで走行不能になった車両を修理工場などへ移送するために使われるタイヤである。あくまで一時的な使用に限られるタイヤであり、最高速度や移動距離に制限が設けられているタイヤがほとんどである。

日本においては道路運送車両の保安基準の細目を定める告示において応急用スペアタイヤと定義されており、乗用車に搭載されていた空気充填済みの応急用スペアタイヤはT-タイプ応急用スペアタイヤと定義されている。一般的にテンパータイヤと呼ばれるものはこのT-タイプ応急用スペアタイヤを指すことが多い。これらのタイヤには「TEMPORARY USE ONLY」と表記されることが定められている他、T-タイプ応急用スペアタイヤの場合、空気圧が420kPaとなるように定められている。T-タイプ応急用スペアタイヤ以外のテンパータイヤとして、日産・フェアレディZなどに搭載されていた折り畳み式応急用タイヤ[注 1](スペースセーバータイヤ)と呼ばれるものも存在していたが、使用時に空気を充填する必要があった[注 2]

テンパータイヤの仕様に際しては自動車ごとに取り扱いが異なることが多く、一部車種においてはグレードによっても扱いが異なるため使用する自動車の取扱説明書で指示された通りに使用する必要がある[注 3]

テンパータイヤの登場以前は純正装着サイズと同じものがスペアタイヤとして搭載されており、その名の通りの予備のタイヤであった。タイヤがパンクしたとしてもスペアタイヤに交換すれば走行が可能であるが、パンクしない場合は無用の長物と言っても過言ではなく、荷室容量の圧迫や重量増による燃費の悪化などのデメリットもあることから省スペースで軽量なスペアタイヤが求められていた。

日本においては1981年に発売された6代目スカイライン(R30型)のハッチバックに搭載されたものが初めてとなる[1]

なお、スーパーカーとして有名なランボルギーニ・カウンタックは初期のLP400とLP400Sなどの後期モデル(25thアニバーサリー含む)ではタイヤサイズが異なっており、LP400が純正サイズのスペアタイヤを搭載していた一方、後期モデルは細いテンパータイヤを搭載していた[2]

2020年代ではテンパータイヤですら荷室の圧迫、燃費の悪化につながるとされており、テンパータイヤではなくパンク修理キットの搭載が一般的になりつつある。一方でパンク修理キットはトレッド面の軽度な損傷であれば有効であるが、サイドウォールの損傷やトレッド面の著しい損傷[注 4]、ビード落ちは修理できない。ロードサービスも基本的にはスペアタイヤの交換か修復材による簡易修理のみであるため[注 5]、最悪の場合レッカー移動となってしまう。そのため、本当にテンパータイヤまで搭載しないことが正しいことなのかという疑念の声も少なくない。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. https://bestcarweb.jp/feature/column/356635 実は搭載義務なし? スペアタイヤ激減の裏事情と積まなくてもOKな訳 - ベストカーWeb
  2. https://www.ferrarilamborghininews.com/blog-entry-10488.html カウンタックのスペアタイヤの細さwwwwwwwwww - フェラーリ ランボルギーニ ニュース

注釈[編集]

  1. 空気を抜いてゴム部分を折り畳んでいた
  2. そのため、アクセサリーソケットに差し込んで使用できるコンプレッサーが搭載されていた
  3. スバル車のACT-4搭載車における強制解除、DCCD搭載車における操作など
  4. 裂けるような損傷や3mm~6mm以上の穴など
  5. 一部のJAFではタイヤ貸し出しサービスを実施している