チーズ牛丼 (ネットスラング)

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チー牛と呼ばれる画像
この記事の項目名には以下のような表記揺れがあります。
  • チー牛
  • チー牛顔
  • チーズ牛丼顔
  • 三色チーズ牛丼顔

チーズ牛丼(チーズぎゅうどん)とは、オタク陰キャラ、「イケてない」とされる人物(特に男性)に対して用いられる日本インターネットスラングである[1][2][3]。略称はチー牛(チーぎゅう)[2][3]

語の対象範囲[編集]

「チーズ牛丼」という語・当該イラストは「よくいる少し気持ち悪いオタク、存在感のない陰キャのテンプレート」として用いられており[4]、「オタクっぽい冴えない印象」や「イケてない」男性・人物を指し示すものである[2][5]。「陰キャ」という語に近いとされる[1]

自虐として使われることも、他者への侮辱的な意味合いで使われることもある[3]

歴史[編集]

発端となる書き込み[編集]

2018年7月19日、ネット掲示板「5ちゃんねる」の「なんでも実況(ジュピター)」に立てられたあるスレッドで以下のような文章が投稿された[6]

301 風吹けば名無し 2018/07/19(木) 17:11:15.64 ID:0V7RAyaFa

就労移行支援で面白かったのは利用者の若い男が皆同じ顔をしてた事

ザ・陰キャって顔

眼鏡

黒髪

子供のような髪型

覇気のない抜けた顔

(悪い意味で)童顔

大人なのに中学生のようで気味悪い

10人いたら8人がそんな顔

https://i.imgur.com/akAJmjk.jpg

人間顔で分かるんやなって — 本文ママ[7]

この書き込みには「すいません、三色チーズ牛丼の特盛りに温玉付きをお願いします」との吹き出しとともに、「チーズ牛丼」を注文する眼鏡をかけた青年のイラストが添えられていた[1][6]。このイラストは、もともと2008年に、当時高校を卒業したばかりであった「いびりょ」[8]が自身のブログに投稿した自画像であり[9]、上コメントの投稿者がイメージとして転載した模様である[1]。いびりょ本人によれば、当時のブログの閲覧者は身近な人に限られており、10人ほどだった[9]。 上コメントの投稿者も就労移行支援の利用者であるとみられるが、同じスレッドで

346 風吹けば名無し 2018/07/19(木) 17:15:12.13 ID:0V7RAyaFa

就労移行支援は発達ガイジ[注 1]しか使えない場所だけど利用者は本当に皆こんな顔してた

若い男の8割はこれや

発達ガイジは見ただけじゃ分からないっていうけど

ぶっちゃけ差別だのなんだのうるさいから言う奴がいないだけで

分かるでこれ...

と綴った。障害者ドットコムの記事によれば、以後当該イラストは「発達障害の顔」としても扱われるようになった[5]

拡散[編集]

上記の書き込みは同スレッド内で「こういう顔のやつおるよな」などと反響を呼び、他のスレッドや掲示板にも広がっていった[1]まとめサイトにも掲載され、イラストの「三色チーズ牛丼」がすき家のメニューである「とろ~り3種のチーズ牛丼」を指すものとされた[1][5]。2019年4月にスレッド「とろ~り3種のチーズ牛丼とかいう陰キャ専用牛丼」がまとめサイトに掲載されるなどし、相手をけなすための言葉として「チーズ牛丼」が定着していった[1]。またその後も、当該イラストが武士風やヤンキー風、イケメン風にコラージュされてネタとして話題になり、コミックマーケット97では男性が同イラストのコスプレを披露した[1]

J-CASTニュースによると、Twitter(現・X)でも拡散されていき、2020年4月中旬に「チーズ牛丼」は500から1000ツイート/日程度確認でき、「チー牛」という略語も普及して、スラングの人気が加速していった[1]。5月10日に「これで合計点が100点超えるとチー牛確定らしい」という診断テストの画像ツイートが4000リツイートされると、その翌日以降「チー牛」は500から2000ツイート/日となった[1]。6月4日に「友人が『おれがネットで一番チー牛だ』と言っていたので比較画像貼っておきます」が2万リツイートを超え、「チー牛」は1万ツイートに達した[1]

受容[編集]

ネット空間での流行と利用[編集]

  • 香港の民主化運動団体のリーダーだった黄之鋒は、「周庭の隣にいるチー牛」などと外見をネット上で揶揄されることが多かったが、黄はこれに積極的に反応した。香港にオープンしたすき家を訪れ、チーズ牛丼を注文しようとしたものの、行列が長かったため断念したことをツイッターで報告し、その後香港内のとある飲食店が、彼の名を冠したチーズ牛丼「黄芝丼」(広東語でチーズは「芝士」)を販売した。周は「彼は楽しんでいるというか、あまり気にしていない」と述べている[2]
  • ガジェット通信の「ネット流行語 ・アニメ流行語大賞2020上半期」に「チー牛」がノミネートされたが[11]、上位選出はならなかった[12]。Petrelが発表した2020年のインスタ流行語大賞では3位に選ばれた[13]。ITジャーナリストの井上トシユキは「好感度が上がって普通の会話に定着し」たと分析した[14]
  • ゲームクリエイターの名越稔洋は、2020年7月28日、ウェブ番組『セガなま~セガゲームクリエイター名越稔洋の生でカンパイ~』(生配信)の中で、パズルゲーム「ぷよぷよ」の特定のプレイヤーについて「チーズ牛丼食ってそうな感じ」とコメントし、笑いを誘ったが、「ゲーマーの方々を公然と侮蔑」しているなどとして反発を受けた[15]。その後、セガのYouTube公式チャンネルは29日に当該部分を削除したアーカイブを投稿し、「一部の方がご不快に感じる表現」があったとして謝罪した[15]

牛丼チェーン店[編集]

2020年6月にJ-CASTニュースが、すき家を運営するゼンショーHDに本スラングについて取材したところ、同社広報室から「『チー牛』という言葉については、認知しております。人気ナンバーワンのトッピング商品である『とろ~り3種のチーズ牛丼』ですが、幅広いお客様に今後とも継続してお召し上がりいただければと存じます。また、17日からちょうど『チーズ牛カルビ丼』というメニューが登場するので、ぜひお召し上がりください」との回答があった[1]

否定的評価[編集]

アサ芸ビズは「チー牛」を巡るメディア報道について、「『地味な人物を揶揄する』といった程度のユルい言葉ではない」と述べており、ネットスラングや炎上に詳しいウェブ系ライターは、「チー牛」との語の「広がりの土壌となったのも発達障害スレ」だったとし「差別の暗部には触れずに、都合のよい上澄みだけを面白おかしく取り上げるという大手(ニュースサイト)のいつものスタイル」だと批判した[6]。障害者情報検索サイトの障害者ドットコムは、2020年6月のJ-CASTニュースの報道が「チー牛」と障害者の関わりを示さず、『冴えない男子を揶揄するミーム』としてのみ紹介していると指摘した。同サイトは執筆者の私見として、「『チー牛』の持つニュアンスを正直に示すと障害者差別に当たるとの批判を招きかねないため、トラブルを避けようとしたのだろう」、またゼンショー側も「チー牛」の持つニュアンスを把握していた可能性を指摘し、炎上を避けるため新商品に話題を逸らすしかなかったのだという見解を示した[5]

また、偏見を助長するネガティブなレッテル貼りとして、ルッキズムの観点からの批判がある[16]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. 「ガイジ」とは障害児という意味[10]。なお、就労移行支援は、発達障害のない障害者でも利用できる。

出典[編集]

  1. a b c d e f g h i j k l あの「チー牛」について、すき家に聞いてみた ネットでなぜか流行語化”. J-CASTニュース (2020年6月18日). 2020年9月14日確認。
  2. a b c d 「周庭の隣にいるチー牛」と煽られた民主活動家・黄之鋒さん、公式チーズ牛丼が発売される” (日本語). ハフポスト (2020年9月2日). 2020年9月7日確認。
  3. a b c “チー牛(ちーぎゅう)”. エキサイトニュース. (2020年7月18日. https://www.excite.co.jp/news/article/Numan_sYsn4/ 2020年10月28日閲覧。 
  4. セガ取締役「チーズ牛丼食ってそう」発言に見る、ゲーム業界に根強く残る「自虐性」”. 現代ビジネス. 講談社 (2020年8月20日). 2020年9月14日確認。
  5. a b c d 「チー牛(チーズ牛丼顔)」と就労移行支援のいびつな関係 - 成年者向けコラム” (日本語). 障害者ドットコム. 株式会社エースタイル. 2020年11月24日確認。
  6. a b c 一般社会では使用厳禁!? ネットスラング「チー牛」流布の意外な弊害とは?” (日本語). Asagei Biz-アサ芸ビズ. 2025年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月24日確認。
  7. 投稿本文”. なんJ 昼のニート無職部 part3(5ちゃんねる) (2018年7月19日). 2025年9月20日確認。
  8. いびりょ(@ibiryo_sun) - 𝕏(旧:Twitter
  9. a b 猪谷千香 (2025年6月15日). “「チー牛」イラスト作者が明かす「ネットミーム誕生」秘話と"誰も傷つけない笑い"への思い”. 弁護士ドットコム. https://www.bengo4.com/c_23/n_18963/ 2025年9月20日閲覧。 
  10. 菅井保宏 (2016年7月1日). “隠語化される差別 カタカナの特性”. 朝日新聞. 2021年4月6日確認。
  11. 『ガジェット通信 ネット流行語・アニメ流行語大賞2020上半期』ノミネートワードを大募集!” (日本語). ガジェット通信 GetNews (2020年6月4日). 2020年11月24日確認。
  12. コロナ関連じゃない!?『ガジェット通信 ネット流行語大賞2020上半期』金賞は「たべるんごのうた」に” (日本語). ガジェット通信 GetNews (2020年7月6日). 2022年11月11日確認。
  13. 【2020年インスタ流行語大賞】をPetrelが発表!「やりらふぃー」「ぎゃきゅん」など流行先取りメディアが捉える2020年のトレンドとは”. FNNプライムオンライン. 2020年11月24日確認。
  14. 「チー牛」の意味が変わりつつある? インスタで流行、「定着」の可能性は...”. J-CASTニュース (2020年12月5日). 2020年12月6日確認。
  15. a b “セガ取締役「チーズ牛丼食ってそう」 ぷよぷよゲーマーの外見揶揄かと物議→謝罪”. J-CASTニュース. (2020年7月30日. https://www.j-cast.com/2020/07/30391160.html?p=all 2020年7月30日閲覧。 
  16. ネットスラングとルッキズム モバプリの知っ得![116]”. 琉球新報Style. 琉球新報 (2020年8月9日). 2020年9月14日確認。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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