スーパーマリオカート

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スーパーマリオカート』(Super Mario Kart)は、任天堂1992年8月27日に発売したスーパーファミコンゲームソフトマリオシリーズに登場するキャラクターがカートに乗ってレースやバトルを行うマリオカートシリーズの1作目。アメリカでは同年9月1日、ヨーロッパでは1993年1月21日に発売。

プレイモード[編集]

タイムアタック[編集]

「1プレイヤー ゲーム」専用。コースを1台のみで走行し、アイテム・コインなしでいかに速くゴールできるかを目指す。

完走すると直前の走行の様子をビデオ再生する「リプレイ」コマンドが現れる。また、コースアウトや障害物への衝突などミスをせずに完走した場合は、「リプレイ」の時にL・Rボタンでアングルを変えながら見ることができるほか、その走り方をそっくり再現する「ゴースト」が次回のタイムアタックから出現する。

VSマッチレース[編集]

「2プレイヤー ゲーム」専用。1つのコースを走り、相手より先にゴールすることを目指す。「マリオカートGP」と同様にコインやアイテムが出現する。

このモードではコース上でキラー[1]が往復しており、触れると甲羅などと同等のダメージを受けてしまう。

バトルゲーム[編集]

「2プレイヤー ゲーム」専用。アイテムを使用した攻撃そのもので勝敗を競う。そのため、カートとアイテムを利用した純粋なバトルとなっており、レース形式を一切採らないため、ゴールというものが存在しない。コースも専用のものを使用し、4種類から選択する。

双方のカートに3つの風船が付いており、攻撃を受けるごとに1個減るため、何度攻撃を受けたかがわかるようになっている。先に相手の風船を全て割ったプレイヤーが勝者となる。

ドライバー[編集]

各ドライバーは2体ずつ4つのタイプに分けられ、タイプごとに最高速度、加速力、コーナリング性能などが異なっている。

標準性能タイプ - マリオルイージ
初期加速は平均的で、最高速度は2番目に速いが、それに達するまでの時間は最も長い[2]。バニラレイク以外のダートに弱く、草地などに入った時のスピードがやや遅め。高めのコーナリング性能を活かした正確な走りが求められる。
加速重視タイプ - ピーチ姫ヨッシー
最も初期加速に優れており、敵カートに攻撃されてもすぐに態勢を立て直すことができる。ただし、スピードが上がると急激に加速力が下がり、最高速度に達するのに時間がかかる[2]。コーナリング性能が低いため、滑りやすいオフロードコースは苦手。軽量級のため、他のカートとの接触には弱い[1]
高速安定タイプ - クッパドンキーコングJr.
最高速度が最も速く、タイムアタックには最適。重量級であるため他車との衝突に強く、高速で体当たりすれば相手カートをはじき飛ばすことができる。しかしコーナリング性能が低い上に、初期加速が圧倒的に弱いため、一度のミスが命取りになる。その一方で、スピードが一定以上に達すると急加速するという変わった特徴も持つ[2]
軽量機敏タイプ - ノコノコキノピオ
初心者向けのタイプ[3]。最高速度は最も遅いが、スピードが上がっても加速力があまり下がらない[2]。加えてコーナリング性能が高く、苦手なコースはほとんどない。ただし、軽量級のため他のカートとの接触には弱い。

アイテム[編集]

「マリオカートGP」と「VSマッチレース」における各アイテムの出現率はコースによって異なり、加えて「1周したかどうか」「現在の順位」に応じて3段階で変化する[4]

ミドリ甲羅
前方に直進し、壁に当たると跳ね返る。本作のみ、十字ボタンの下を押しながらAボタンを押すと、後方にミドリ甲羅を「設置」する[5]
アカ甲羅
一瞬だけ直進してから、1つ前のカート[注釈 1]のいる場所に向かう。カートに当たる前に壁に当たると、跳ね返ることなく消滅する。
バナナの皮
後方にバナナの皮を設置する。十字ボタンの上を押しながらAボタンを押すと、前方に放物線上に投げる[5]
羽根
その場で大ジャンプする。アイテムや障害物を避けたり、壁や穴を飛び越えてショートカットしたりできる。
キノコ
一瞬だけスピードが上がる。この間にジャンプバンを踏むと、羽根を使った時のように大ジャンプができる。
スター
一定時間、加速力やスピードが上がり、さらにアイテムや障害物からのダメージを無効化する無敵状態になる。コースアウトすると効果が切れる。
イナズマ
一定時間、自分以外の全員を小さくしてスピードダウンさせる。小さい状態で通常サイズのカートに触れると潰れてしまい、大幅なタイムロスとなる[注釈 2]。「バトルゲーム」では出現しない。
コイン
その場でコイン2枚を手に入れる。「バトルゲーム」では出現しない。
テレサ
相手の画面から姿を消し、同時に相手が持っているアイテムを奪う。本作の時点では無敵の効果はない。「マリオカートGP」では出現しない。

COMキャラクターのアイテム[編集]

プレイヤーが2位以下のときはすぐ前方を走っている1台のみ、プレイヤーが1位のときはすぐ後方を走る1台(周回遅れ含む)のみが使う。原則的にアイテムは種類に関わらず「設置する」のみ[注釈 3]。プレイヤーと異なり制限無く使用可能だが、キャラクターによって使用アイテムが限定されている。ただし、プレイヤーが使用したバナナの皮や甲羅を大ジャンプで回避することがある。

無敵[6]
マリオとルイージはアイテムを設置せず、スターと同様に無敵の効果を得る。ただし、スピードは上がらない。
毒キノコ
ピーチ姫とキノピオが使用。触れると小さくなってしまい、この状態で敵カートに接触すると潰されてしまう。逆に小さい状態で触れると元の大きさに戻る。
ヨッシーが使用。見た目以外はノコノコのミドリ甲羅と同じ。
火の玉
クッパが使用。設置された後は円を描きながら移動するため、回避が難しい。
バナナの皮
ドンキーコングJr.が使用。プレイヤーが使用するものと同じ。
ミドリ甲羅
ノコノコが使用。前述の通り、プレイヤーの後方を走っていても前方に「設置」する。

コース[編集]

4つのカップにそれぞれ5コースずつ、合計20コースで構成されている[注釈 4]

テンプレート:Col-4
キノコカップレース
マリオサーキット1
ドーナツ平野1
おばけ沼1
クッパ城1
マリオサーキット2
テンプレート:Col-4
フラワーカップレース
チョコレー島1
おばけ沼2
ドーナツ平野2
クッパ城2
マリオサーキット3
テンプレート:Col-4
スターカップレース
ノコノコビーチ1
チョコレー島2
バニラレイク1
クッパ城3
マリオサーキット4
テンプレート:Col-4
スペシャルカップレース
ドーナツ平野3
ノコノコビーチ2
おばけ沼3
バニラレイク2
レインボーロード

これらのコースは以下の8つの系統に大別され、同じ系統のコースは似たようなレイアウトのものが多い。障害物のうち一部は取扱説明書にて「おジャマ敵キャラ」と紹介されており、これらは共通して特定の手段を用いることで除去できる。

マリオサーキット
砂地に囲まれたサーキットコース。
おジャマ敵キャラは単なる壁の土管だが、「2」からはオイルが撒かれている場所があり、その上を通ると短時間スピンしてしまう。
ドーナツ平野
平野の中にあるオフロードの自然系コース。沈む池の仕掛けがあり、自力で脱出可能だが、一定時間が経つとジュゲムに救出されることになる。
おジャマ敵キャラはチョロプー。一定の間隔で穴から飛び出て、触れるとこちらのカートに張り付き減速させられる。「1」ではチョロプーはおらず、ダート上に同コース限定の赤い土管がある。
おばけ沼
テレサが佇む板張りのコース。大部分が直線と直角コーナーで構成されている。アイテムを使わないと利用できず、コントロールの難しいショートカットが、各コース内に1か所ずつ存在する。
アイテムの出現率が他のコースと大きく異なり、羽根やテレサが出現しやすく、逆に甲羅は出にくくなっている[4]
おジャマ敵キャラはいないが、コース端の木製ブロックに衝突すると、そのブロックは崩れて消えてしまう。ブロックのない場所でコースアウトすると転落し、強制的にジュゲムに救出されることになる。
クッパ城
煮えたぎる溶岩の上に敷かれたコース。直線と直角コーナーで構成され、大部分が石のガードレールに覆われており、壁にぶつかりやすい。ジャンプバンで溶岩を飛び越える場所が多く、溶岩に落ちると即ジュゲムに釣り上げられることになる。
おジャマ敵キャラはドッスン。落下と上昇を繰り返しており、落下時に真下にいると押し潰されて大幅なタイムロスとなる。
チョコレー島
褐色の荒野を舞台とする、路面が滑りやすいオフロードの凸凹コース。濃い色の沼に入ると速度が下がり、泥がカートに絡み付き路面よりも滑りやすく、コントロールが難しい。さらに側部のダートは非常に重く、入ると大幅に速度が下がる。
至る所にギャップがあり、ギャップの上に乗るとカートが少し跳び上がる。速度に応じて跳びあがる高さが変化し、ジャンプバンで発生する最低限の加速は起きない。
おジャマ敵キャラはパックンフラワー。ダート地帯に大量に配置されており、当たると短時間スピンしてしまう。
ノコノコビーチ
海に囲まれた小島で構成されたコース。海の色が薄い浅瀬は速度が若干落ちるものの通れるが、海の色が濃い場所に進入すると水中に沈む。
おジャマ敵キャラはプクプク。至る所で跳ねており、接触すると短時間スピンしてしまう。
バニラレイク
雪原と氷原で構成されたコース。氷で出来た路面のため滑りやすく、カートのコントロールが難しい。また、雪原では大幅に速度が下がる。氷が割れて穴が空いている場所があり、侵入すると水中に沈む。
おジャマ敵キャラは土管だが、衝突すると消える氷のタイルが回避困難なほどに敷き詰められている。ある程度壊すことを前提としたうえで、繊細なコース取りが要求される。
レインボーロード
宇宙に浮かぶ虹色のタイルの上を走る、本作の最終コース。カーブは全て直角で、路肩には一切フェンスがない上に、外部は全て穴である。コースの幅も狭く非常にコースアウトしやすい。また、コインが黄色いタイルと同化しており、非常に確認しづらい。
おジャマ敵キャラは激しく点滅しているスーパードッスン。狭い道に大量に配置されている上、触れただけで甲羅などと同等のダメージを受けてしまう、非常に厄介なキャラクターである。

バトルコース[編集]

「バトルゲーム」で使用する4種類のコース。( )内はデザインの流用元を示す。

バトルコース1(ドーナツ平野)
最もフェンス(間仕切り)が少ない「練習用コース」[3]。外側の形状が東西南北で異なっている。
バトルコース2(ノコノコビーチ)
フェンスの配置が他の3コースと異なっている。羽根で飛び越えなければ入れず、バナナ以外の相手の攻撃アイテムが届かない水場(浅瀬)にも、「?マーク」が数枚ある。
バトルコース3(バニラレイク)
コーナーに氷のタイルが置かれており、路面は非常に滑りやすい。
バトルコース4(マリオサーキット)
最もフェンスが多く、面積も大きい。中央に砂のダートが存在する。

開発[編集]

本作は、『アイスクライマー』の開発者である杉山直ら8人を中心に1年かけて開発された[7]。 本作は「2人用の『F-ZERO』」を起点としており、初期の段階においてマリオを題材にすることは決まっていなかった[7]。 最初に、『F-ZERO』のマルチプレイ化の実験が行われたが、ハードの制約上、同作のような長い直線コースを2画面で表示することは不可能であることが判明した[7]。そこで2画面の中に納まるよう、曲がりくねったコースデザインが設計され、必然的に速度の遅いカートレースが題材となった[7]。コース設定に当たってはヤマハリゾート合歓の郷への取材が行われた[7]

また、最初の段階において、運転手はつなぎを着てヘルメットをかぶった男性として描かれていたが、シルエットが共通しているため、後ろ姿での見分けがつかなくなるという欠点が判明した[7]。試しにマリオを乗せてみたところ見分けがつきやすくなったことから、マリオシリーズの世界観を取り入れることが決まった[7]。さらに、マリオとルイージは色で見分けがつくことに加え、多様性を持たせることができるのも、決め手の一つとなった[7]。後ろから見た時のわかりやすさを基準に他のキャラクターの選定も行われた[7]。また、初期案におけるCOMキャラクターの妨害アイテムは運転手に合わせてオイル缶にしていたが、運転手がマリオに変更されたのに伴い、COMキャラクターの妨害アイテムの多様化も図られ、たとえばドンキーコングJr.は好物のバナナに変更された[7]

作曲者は岡素世[8]、坂東太郎。過去のスーパーマリオシリーズ作品のBGMはあまり使用されず、おばけ沼、クッパ城、スターによる無敵状態で流れるBGMを除いてオリジナルのものとなっている。

その他[編集]

  • 発売当時のCMでは、マリオ達がレースをしているアニメーションが流れ、ゲーム中の映像は使用されなかった。ナレーションは広川太一郎が担当した[注釈 5]
  • レース中の経過時間は十分の位まで表記されているが、実際には9分59秒99までしか計測されない。
  • いずれかのプレイヤーが5周目(ファイナルラップ)に突入すると、『スーパーマリオブラザーズ』などの「タイムアップ警告音」が流れた後、BGMのテンポが速くなる。
  • 日本版では特定のキャラクターで優勝すると、そのキャラクターが表彰式でシャンパンを一気飲みするが、海外版では飲酒表現に対する自主規制が入り、変更されている[9]
  • アイテムのイナズマを使用した時に画面全体が赤色と青色で交互に点滅する演出がある。バーチャルコンソール版では青色のみの1色の点滅表現に変更されている。
  • 隠しコマンドの数が多く、一部のモードで「スペシャルカップレース」のコースを無条件で出現させる[10]、「タイムアタック」でゴーストのデータを1つだけ保存する[11]、プレイヤーのカートが小さくなる[12]、といったことが可能。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. 1位の場合は最下位、「VSマッチレース」と「バトルゲーム」では敵プレイヤー。
  2. COMキャラクターはスピンするのみ。
  3. プレイヤーの後方にいる場合(周回遅れを含む)は放物線上に投げる。
  4. マリオサーキット、レインボーロード以外のコース名の表記は、取扱説明書のように数字のみが付記されるものと、ゲーム中のように数字の前に「コース」が挿入されるものの2通りがある。本項では後のシリーズに合わせ、前者の表記を採用している。
  5. 広川は同業他社であるセガのCMナレーションも同時期担当していた。

出典[編集]

  1. a b エイプ&小学館 1992, p. 126
  2. a b c d エイプ&小学館 1992, p. 17
  3. a b 取扱説明書PDF
  4. a b エイプ&小学館 1992, pp. 142-143
  5. a b エイプ&小学館 1992, p. 146
  6. エイプ&小学館 1992, p. 19
  7. a b c d e f g h i j 紺野秀樹; 杉山直 (2017年9月21日). インタビュアー:左尾昭典. “「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」発売記念インタビュー 第4回「スーパーマリオカート篇」”. 任天堂. https://topics.nintendo.co.jp/article/3228ce3a-8d29-11e7-8cda-063b7ac45a6d 2020年6月1日閲覧。 
  8. Kiyoshi Tane (2018年12月27日). “幻のファミコン版『シムシティ』のプロトタイプが27年ぶりに発掘。スーファミ版との違いも解説”. Engadget. 2020年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月5日確認。
  9. QBQ 2016, p. 65.
  10. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「page144」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  11. エイプ & 小学館 1992, p. 147.
  12. エイプ & 小学館 1992, p. 148.

外部リンク[編集]