ジョーン・Bの夏

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ジョーン・Bの夏』(ジョーン・Bのなつ)は、樹村みのりの短編漫画作品、および表題作とする漫画短編集。

概要[編集]

1980年代前半に発表された樹村の短編を集めた作品集である。

「ジョーン・Bの夏」、「夜の少年」、「水子の祭り」の3作品は、いずれも主人公の内面を掘り下げていく作品であり、これらの作品が発表された当時には倉多江美山岸凉子なども同様に心理学的なアプローチによって主人公の内面を掘り下げていた。樹村作品の場合は病理的な内容ではなく、過去の自分と向き合うというものが多いのが特徴といえる。また、これら3作には恋愛に絡んで自分を見つめ直すという点も共通点となっている。

短編集[編集]

1983年東京三世社から刊行された。表紙画は表題作「ジョーン・Bの夏」ではなく、「水子の祭り」の扉絵である。

翻訳家の小沢瑞穂が解説文を寄せている。

漫画以外にもアンケート形式で「ぷろふぇっしょなるQ&A」、「樹村みのり全調書」、「全作品リスト」、「作品後記」といった樹村みのりという漫画家本人を知ることのできる資料が収録されている。

ジョーン・Bの夏[編集]

プチフラワー』(小学館)1980年夏の号に33ページが初掲載されたが、未完結状態であった。雑誌掲載では不足のページを高野文子の「ふとん」が1ページずれて掲載され穴埋めとなっている。その後、『少年/少女 SFマンガ競作大全集』(東京三世社) PART11(1981年7月1日発売)に17ページを加筆して全50ページで掲載され、完成形となった。単行本に収録されているのは完成形のほうである。

『少年/少女 SFマンガ競作大全集』では「サイコSF大長編」と銘打たれていた。

樹村の漫画作品には「冬の花火」「見えない秋」「夏を迎えに」など、季節の名称をタイトルに織り込ん漫画作品が多数あるが、本作もその1つであり、「」には成長へと向かう意味が込められていると、樹村本人はコメントしている[1]

あらすじ
両親を亡くし、叔父と暮らす少女・ジョーン・B・アンダーソンは人柄がよく誰からも好かれていた。ある日、以前、両親と住んでいたメイン州ハートフォードでの友達を自称するバーバラという少女がジョーン・Bに声をかけてくる。しかし、ジョーン・Bには心当たりが無かった。
バーバラはジョーン・Bの交友関係を辛辣に論評する。

夜の少年[編集]

『プチフラワー』(小学館)1981年秋の号に掲載された。

水子の祭り[編集]

『プチフラワー』(小学館)1982年秋の号に掲載された。

あらすじ
野沢伸子は、壁画の作成を山の中にある病院に依頼されたが、山中で迷ってしまい、医師の長谷川に拾われた。
伸子は病院での長谷川との対話し、自身の失恋や父との関係を思い返す。

ひとりと一匹の日々[編集]

『グレープフルーツ』(新書館)1982年4号に掲載された「一人と一匹の日々」を改題。

再録[編集]

脚注[編集]

  1. アーカイブ 樹村みのり展 ─その優しさ、芯の強さ─”. 米沢嘉博記念図書館. 明治大学. 2025年10月25日確認。