ギザのピラミッド
ギザのピラミッドは、エジプトのギザにある、世界的に有名な古代エジプトのピラミッド群である。主に3つの大きなピラミッド(クフ王のピラミッド、カフラー王のピラミッド、メンカウラー王のピラミッド)と、それらに付随する小さなピラミッド、神殿、スフィンクスなどから構成されている。これらは古王国時代に建設され、古代世界七不思議の一つとしても知られている。
概要[編集]
ギザのピラミッドは、カイロ南西約13キロメートルのギザ高原に位置している。この地には、第4王朝のファラオであるクフ王、カフラー王、メンカウラー王の墓として建設された巨大なピラミッドが並んでおり、古代エジプト文明の卓越した建築技術と王の権力を象徴している。
これらのピラミッドは、主に石灰岩や花崗岩を用いて建設された。特にクフ王のピラミッドは、完成当初は高さ約146.6メートルであり、約3,800年もの間、世界で最も高い建造物であった。
構成[編集]
ギザのピラミッド群は、以下の主要な建造物で構成されている。
- クフ王のピラミッド:ギザで最大のピラミッドであり、最も古い。建設には数百万個の石灰岩ブロックが使用されたと推定されている。内部には、王の間や女王の間などの空間が存在する。
- カフラー王のピラミッド:クフ王のピラミッドの南西に位置し、一見すると最も高く見えるが、実際には基盤が高台にあるためである。頂上付近には、建設当時の化粧石が一部残っている。隣接してギザの大スフィンクスがある。
- メンカウラー王のピラミッド:ギザで最も小さい主要ピラミッドである。外部には赤い花崗岩が使用されている部分がある。
これらの主要なピラミッドの周辺には、王妃のピラミッドやマスタバ(方形の墓)、労働者の村の遺跡なども発見されている。
建設と目的[編集]
ギザのピラミッドの建設目的は、ファラオの死後の世界における永遠の住処、すなわち墓として機能することであった。古代エジプトの信仰では、ファラオは神の子であり、その魂(カーとバー)が永遠に生き続けるためには、肉体を保存し、供物を捧げる場所が必要とされた。
ピラミッドの建設方法については、古代から様々な説が提唱されてきたが、一般的には、石材を切り出し、傾斜路(ランプ)を使って積み上げていったと考えられている。数万人の労働者が動員され、数十年かけて建設されたとされている。
現代におけるギザのピラミッド[編集]
ギザのピラミッドは、現在もなお、世界中から多くの観光客が訪れる人気のある観光地である。ユネスコ世界遺産にも登録されており、「メンフィスとその墓地遺跡 - ギザからダハシュールまで」の一部を構成している。
考古学的な調査も継続して行われており、新たな発見が報告されることもある。これらのピラミッドは、古代エジプト文明の偉大さを現代に伝える貴重な遺産として保護されている。
豆知識[編集]
- クフ王のピラミッドは、完成から約3,800年間、人工建造物として世界一の高さを誇っていた。
- ピラミッドの内部にある空気の循環システムは、現代の建築技術を凌駕すると言われるほど精巧に作られている。
- ギザのピラミッドは、三大ピラミッドと大スフィンクスが一直線上に並んでいるように見えるが、これは意図的に配置されたものではなく、地形的な偶然であるという説もある。
関連項目[編集]
参考書籍[編集]
- イアン・ショー、ポール・ニコルソン 著『大英博物館 古代エジプト百科事典』東洋書林、1997年。ISBN 978-4887211099。
- 吉村作治 著『ピラミッドの謎』岩波書店、2001年。ISBN 978-4004307399。