エクウレウス

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探査機エクウレウス(EQUULEUS)は、東京大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同開発した超小型深宇宙探査機(6UサイズのCubeSat)で、地球・月系のラグランジュ点L2(EML2)への航行を目指していた。

概要[編集]

名称の由来[編集]

「EQUULEUS」は「EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft」の略で、ラテン語で「こうま座」を意味する。

打ち上げ[編集]

2022年11月16日、NASAのSLSロケット(アルテミス1号)に相乗りで打ち上げられた。

サイズ・質量[編集]

約11.6×23.9×36.6 cm、質量約10.5 kg。

推進方式[編集]

水を推進剤とするレジストジェット推進器「AQUARIUS」を採用し、約1.2 kgの水で約80 m/sの速度変化を実現。

ミッション目的[編集]

軌道操作技術の実証:太陽や月の重力を利用し、少ない推進剤でEML2への航行を実現する低エネルギー軌道制御技術の実証。

科学観測[編集]

  • PHOENIX:極端紫外線を用いて地球の磁気圏プラズマを撮像。
  • DELPHINUS:月面への小隕石衝突による閃光を高速カメラで観測。
  • CLOTH:宇宙空間のダスト環境を評価するセンサ。

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

ミッションの経過と成果[編集]

  • 月フライバイ:2022年11月22日、最初の月フライバイに成功。
  • 科学観測:地球の磁気圏プラズマの撮像や、長周期彗星の撮影に成功。
  • 通信途絶:2023年5月18日に通信が途絶。電源の枯渇により無制御状態に陥ったと推測されている。
  • 運用終了:2024年4月9日、探査機の位置誤差の拡大を理由に運用が終了した。

特筆すべき点[編集]

  • 水を推進剤とした超小型探査機による深宇宙での軌道制御を世界で初めて実現。
  • アルテミス1号に相乗りした10機のキューブサットの中で、計画通りの軌道制御に成功した唯一の探査機。
  • EQUULEUSは、超小型探査機による深宇宙探査の可能性を示す重要なミッションであり、今後の宇宙探査における技術的な礎となる成果を残した。