アスラーダG.S.X

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アスラーダG.S.Xは、サンライズ制作のSFアニメ作品『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』およびその関連作品に登場する架空の人工知能搭載型レーシングマシンである。世界初のAIを搭載したサイバーマシンとして、作品の物語の中核をなす存在である。

概要[編集]

アスラーダG.S.Xは、故風見広之菅生修(後のナイト・シューマッハ)が共同で開発した、世界初のAI搭載型サイバーフォーミュラである。その開発の目的は、ドライバーの能力を最大限に引き出し、究極のレースを実現することにあった。従来のサイバーフォーミュラが単なる情報提供に留まる中、アスラーダは自律的な判断と学習能力を持つAI「アスラーダ」を搭載し、ドライバーとの対話を通じて成長する特性を持つ。

当初はスゴウレガシィの所有物として、菅生あすかによって日本へと輸送される予定であったが、ユニオンセイバーの妨害工作によって風見ハヤトが偶然にも乗り込むこととなり、彼を唯一のドライバーとして認識することになる。これにより、ハヤトは史上最年少のサイバーフォーミュラレーサーとして、サイバーフォーミュラGPXの舞台に立つこととなる。

車体構造と特徴[編集]

アスラーダG.S.Xの「G.S.X」は「Global Standard eXperience」の略である。その車体は、空気抵抗を極限まで抑えた流線形のデザインを特徴とし、軽量かつ高剛性の特殊合金で構成されている。

主な特徴は以下の通りである。

  • AI「アスラーダ」: 車載AIである「アスラーダ」は、ドライバーの心拍数、視線、思考パターンなど、あらゆる情報をリアルタイムで解析し、最適な走行ラインやギアシフト、ブーストタイミングなどを提案する。また、ドライバーの精神状態を考慮したアドバイスを行うなど、人間と機械の境界を超えたコミュニケーション能力を持つ。その音声は男性の声であり、ハヤトにとっては相棒であり、時には父親代わりのような存在として描かれる。
  • リフティングターン: アスラーダに搭載された独自の空力制御システムにより、車体を瞬間的に浮かせ、旋回性能を向上させる「リフティングターン」を可能にする。これは、アスラーダの設計思想である「空気の流れを制御する」という考え方を具現化したものである。
  • ブーストモード: 瞬間的に出力を向上させるブースト機能を搭載しており、直線での加速性能に優れる。G.S.Xでは特に「ラリーモード」と呼ばれるオフロード走行に対応したモードも存在する。
  • オフロード対応: 当初からオフロード走行も視野に入れて設計されており、悪路での走破性も高い。これは、開発者である風見広之が多様な環境での走行を想定していたためである。

劇中での活躍[編集]

アスラーダG.S.Xは、風見ハヤトと共にサイバーフォーミュラGPXの舞台で数々の困難に直面し、成長していく。最初はAIに頼り切っていたハヤトも、アスラーダとの共闘を通じて自らの運転技術と判断力を磨いていく。

特に、第10回サイバーフォーミュラGPXでは、ユニオンセイバーブリード加賀ジャッキー・グーデリアンといったベテランレーサーたちと熾烈な戦いを繰り広げ、最終的にはハヤトと共にワールドチャンピオンの座を獲得する。この優勝は、AI搭載型サイバーフォーミュラがその性能を世界に知らしめる契機となった。

しかし、物語が進むにつれて、より高性能なサイバーフォーミュラが登場し、アスラーダG.S.Xは次第にその限界を迎える。最終的には、アスラーダGSX-Ⅱへとバージョンアップされるが、その基本設計とAI「アスラーダ」の魂は引き継がれていく。

開発経緯[編集]

アスラーダG.S.Xは、風見広之菅生修が極秘裏に進めていたプロジェクト「プロジェクト・アスラーダ」の集大成として開発された。彼らは、従来の機械が持つ限界を超え、ドライバーと一体となって進化するサイバーフォーミュラの可能性を追求していた。

しかし、風見広之はプロジェクトの完成を待たずして事故死してしまう。彼の遺志は菅生修に引き継がれ、アスラーダG.S.Xは完成に至る。当初は安全面からAIの搭載に難色を示す声もあったが、風見広之菅生修の強い信念により、世界初のAI搭載サイバーフォーミュラとして世に送り出されることになった。

豆知識[編集]

  • アスラーダのAIは、当初は女性の声でプロトタイプが開発されていたが、最終的に男性の声に設定された。これは、開発者の一人である風見広之の個人的な嗜好が影響していると言われている。
  • アスラーダG.S.Xのカラーリングは、スゴウレガシィのチームカラーである白と青を基調としている。
  • 当初は菅生修自身が搭乗する予定であったが、ユニオンセイバーの妨害により風見ハヤトが乗り込むことになった。
  • G.S.Xは、作中では「グロリアス・ストライク・イクスペリエンス」の略だという非公式な説も存在する。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 『新世紀GPXサイバーフォーミュラ 設定資料集』(株式会社新紀元社、発行年不明)
  • 『新世紀GPXサイバーフォーミュラ 大百科』(勁文社、1992年)
  • 『サイバーフォーミュラ大全』(ソフトバンククリエイティブ、2007年)