どうぶつしょうぎ

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どうぶつしょうぎは、将棋を元にした2人対戦型ボードゲーム

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ライオン、ぞう、きりん、ひよこが各1個づつを用いる。ひよこはにわとりに成ることができる。この記事では、表記にあたって「獅(ライオン)」「象(ぞう)」「麒(きりん)」「雛(ひよこ)」「鶏(にわとり)」を用いる。

「〇」が動けるマス、「×」は動けないマスである。将棋の香車、飛車、角行のように2マス以上動けるコマは存在しない。

ライオン[編集]

八方に一歩。将棋の王将、玉将と同じくライオンが取られると負け。

ぞう[編集]

斜めに一歩。

×
× ×
×

きりん[編集]

縦、横に一歩。

× ×
× ×

ひよこ[編集]

前に一歩。将棋の歩兵に同じ。

ヒヨコが相手陣地の一段目までたどりつくと裏返してニワトリに成る。

× ×
× ×
× × ×

にわとり[編集]

ヒヨコが相手陣地の一段目までたどりつくと裏返してニワトリに成る。

縦、横、斜め前に一歩。将棋の金将、と金に同じ。

× ×

初期配置[編集]

3×4のマスに以下のように並べる。

A B C
1
2
3
4

1、2の駒が「空チーム」と3、4の駒が「森チーム」となる。

空チームのひよこ(雛)が4に進む、森チームのひよこ(雛)が1に進むとにわとりに成ることができる。

ルール[編集]

  • 空チームと森チームでどちらが先攻するかを決め、交互に自チームの駒を動かす。
  • 自チームの駒を移動した先に自チームの駒がある場合には移動できない。
  • 自チームの駒を移動した先に相手チームの駒があった場合は相手チームの駒を盤上から取り除いて自チームの駒にすることができ、次回以降の自分の手番の時に空いている場所に自チームの駒として置くことができる。

将棋で禁じ手とされる「二歩」「打ち歩詰め」「1段めへの歩打ち」は、どうぶつしょうぎでは禁止されていない。

勝利条件[編集]

勝利条件には「キャッチ」と「トライ」の2種類があり、どちらかを先に達成したチームの勝利となる。

キャッチ
相手チームのライオンを取る。
トライ
自チームのライオンをを相手の一段目まで移動させる。森チームなら一、空チームなら四。

考案者[編集]

北尾まどか女流二段が2008年に考案した。

北尾の将棋教室に4歳児が習いに来ており、どうやれば4歳児に楽しく将棋を覚えてもらえるかを考え、駒の数を減らし、盤を小さくして、簡単な将棋のルールを作った。

数学的分析[編集]

数学的に言えば、どうぶつしょうぎは「二人完全情報零和ゲーム」である。

東京大学の田中哲朗は、どうぶつしょうぎの解析を行い、打ち手が最善手を取り続けるのならば、78手以内に後手が必勝するという分析を行っている。局面数は2億を超しており、それを記憶するのは人間には困難であるため、ゲームとして成立しているとも言える。

定跡[編集]

森チーム先攻として記す。

初手[編集]

先攻が取りうる手としては以下の4つがある。

  • B2ひよこ
  • C3きりん
  • C3ライオン
  • A3ライオン

ぞう冠[編集]

A B C
1
2
3
4

ライオンの上にぞうが配置される並びから始まる戦法。「B2ひよこ」からはこの型に入りやすいが、これ以外にも様々な序盤手からこの型になる。

最も長手数の定跡になり、78手で後手必勝ではあるが、途中で様々な変化もある。「必勝」といっても、後手が最善手を指し続けたらの話であり、失着した場合は必勝とはならない。

きりんの翼[編集]

A B C
1
2
3
4

ぞうを動かす前にきりんを進ませた出だしから始まる戦法。序盤にひよこを交換した場合には、こうはならないため、きりんの翼からぞう冠に変化することはあっても、逆にぞう冠からきりんの翼に変化することはない。

この図のように先手後手が共にきりんの翼になった場合、次の先手の最善手は「C4きりん」ときりんを初期配置に戻す手となる。

参考文献[編集]

  • 田中哲朗「「どうぶつしょうぎ」の完全解析」、『研究報告ゲーム情報学』第3号2009年、 1-8頁、 ISSN 09196072

外部リンク[編集]