ヘッドライト
ヘッドライトまたは前照灯とは、自動車や鉄道車両などの車両に装着される灯火類の一種であり、主に夜間や視界不良時に道路前方を照らすことを目的とした装備である。日本において、保安基準などの法的な場においては前照灯の語が使用されることが多い。自動車においては道路運送車両法により装着・性能が義務付けられている。
自動車[編集]
ヘッドライトは、夜間走行やトンネル、悪天候時などで視界を確保するために使用される。一般に車両の最前部、左右に1対設置されるのが基本で、光の色や配光、光度などには厳格な基準が設けられている。ヘッドライトはすれ違い用前照灯(ロービーム)と走行用前照灯(ハイビーム)に切り替えることが可能である。
夜間走行する際、通常はハイビームを用いることとされており、ロービームは前方に車がいる場合もしくは対向車線から自動車が走行してくる場合に使用するものである。ロービームは40m先程度を照らすのに対し、ハイビームは100m先を照らすように設計されており、ハイビームは夜間における歩行者の早期発見に役立つものの、他の車両や歩行を眩惑することになりかえって危険な状況を生じやすく、適宜切り替えて運転しなければならない。なお、対向車や前方に車がいる状態でハイビームのまま走行することは減光等義務違反に抵触する場合がある。
ヘッドライトに使用される光源も多様化を辿っており、かつての主流であったハロゲンバルブから高級車を中心に普及したHID、2020年代から主流となるほど普及しているLEDなど多岐にわたっている。
ハロゲンは構造が簡単であり安価であるものの、光量や寿命が劣るという特徴がある。HIDは光量や寿命がハロゲンより優れるものの、バラストが必要であったり応答性に劣る[注 1]というデメリットがある。近年の主流であるLEDは省電力性や寿命に優れ、ハロゲンからの置き換えも容易であるというメリットがある。
構造と配光[編集]
従来は反射式(リフレクター)による配光が主流だったが、近年ではレンズを用いたプロジェクター式や、マルチリフレクター式なども登場し、より効率的な配光が実現している。
また、アダプティブヘッドライトやオートマチックハイビームなど、運転支援機能と連動する機構も増えている。これにより、対向車への眩惑を避けつつ照射範囲を最適化できる。
法規制と車検[編集]
日本では道路運送車両法および保安基準[1]とその細目を定める告示により、前照灯の数、色(白または淡黄色)、高さ、光度、配光などが規定されている。点灯確認は車検時の重要項目であり、不適合の場合は整備・交換が必要となる。なお、2006年以前に製造された自動車は黄色のヘッドライトを使用できたが、これ以降の自動車は白色のみとなっている(2006年以前に製造・初年度登録されていれば以降の車検も黄色バルブの使用がOK)。
車検時における検査について、ロービームで検査した際に光量不足でもハイビームで光量を満たしていれば車検に通るような運用がなされていた。しかし、2015年に車検基準が改定され、1998年9月1日以降に製造された自動車は2018年以降すべてロービームのみで検査を受けるように改定された(2024年8月から完全移行)。
鉄道車両[編集]
この節はまだ執筆途中です。加筆、訂正して下さる協力者を募集中!
鉄道においては、多くの鉄道会社が進行方向先頭の車両のヘッドライトを昼間含め常時点灯させている。ただし、JRの分割民営化直後は昼間消灯だった他、現在でも一部の中小私鉄(三岐鉄道や伊予鉄道など)は今でも昼間消灯を続けている。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/H032.pdf 道路運送車両の保安基準 第32条(前照灯等)
注釈[編集]
- ↑ スイッチオンから安定化まで数秒~数十秒程度必要。そのため、ハイビーム用にハロゲンバルブを設けている車種もある